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 新型コロナウイルス下の新常態(ニューノーマル)として広まったテレワーク。通勤時間の削減やワークライフバランスの改善などのメリットがある半面、出社の機会が減り、対面の会話が減るというデメリットも浮き彫りになっている。とりわけ若手社員は社内でのコミュニケーションが不足しがちだ。

 この課題を現場主導の取り組みで解消しようとしているのがアクセンチュアだ。名付けて「エモ活動」。同社で最大規模の組織であるテクノロジーコンサルティング本部で2021年8月から取り組み始め、現在は有志の約40人が中心となって社内コミュニケーションの活性化に励んでいる。

共通語として広まった「エモい」

 エモ活動とは「心動かす活動」を総称したもので、細かい具体的な行動の定義はない。もともと同本部では「他のメンバーの斬新で面白く心動かされた発言や取り組みなどを『エモい』と表現していた」(エモ活動の中心メンバーである同本部インテリジェントクラウドイネーブラーグループの小田原宏光アソシエイト・ディレクター)。

 「エモい」が同本部の共通語として広まるなか、コロナ禍となり「組織全体としてコミュニケーションを積み上げなければまとまりに欠けてしまう」(同)という課題が見えてきた。テレワーク主体の働き方となり、周りがどんな仕事をしているのかを把握しにくくなっていたからだ。

エモ活動の振り返りの様子。小田原アソシエイト・ディレクター自らハートメガネをかけるなど雰囲気づくりに気を配っている
エモ活動の振り返りの様子。小田原アソシエイト・ディレクター自らハートメガネをかけるなど雰囲気づくりに気を配っている
(出所:アクセンチュア)
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 そこでエモ活動を開始し、「組織内ニューズレターの発行」「匿名のお悩み相談サイトの創設」「若手とベテランの対談動画の配信」「オフィスツアー動画の配信」などの施策を実行に移した。例えば組織内ニューズレターはエモ活動の有志が制作し、基本的に月に1度発行している。載せる記事は同本部で進行しているプロジェクトを単に紹介するのではなく、「主に個人にフォーカスしている」(同)という。技術に詳しい人に注目トピックスをインタビューするといった具合だ。

 その理由は「優秀な人を多くの人に知ってもらい、コミュニケーションを取ってもらう」(同)ためだ。アクセンチュア社員は社員データベースなどを検索すれば他の社員がどんなスキルを持っているかを把握できる。しかし「若手社員は社内人脈が形成できていないため、(質問に回答できそうなスキルを持つ社員のうち)誰に質問すればよいのか、質問しやすい人なのか、と迷ってしまうことが多々ある」(同)。