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 三菱ふそうトラック・バスは2023年3月9日、全面改良した小型電気自動車(EV)トラック「eCanter(eキャンター)」の受注を開始した。ユーザーの多様な使い方に応えられるように、車両のラインアップを増やした。モジュール式のリチウムイオン電池を採用し、ラストワンマイル輸送から長距離の輸送まで用途に応じた航続距離を選べるようにした。予防安全性能も強化した(図1)。

eキャンター
図1 全面改良した「eキャンター」
(画像:三菱ふそうトラック・バス)
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 小型EVトラックについては、いすゞ自動車が2023年3月7日に「エルフEV」を発売した。日野自動車も2022年6月から、「デュトロZ EV」を販売している。今後、各社の販売競争は激しくなりそうだ。

 改良前の先代車は、GVW(車両総質量)が7.5t(トン)級の1車種しかなかった。ホイールベースも3400mmの1種類であり、容量13.8kWhのリチウムイオン電池パックを6個搭載し、航続距離は約100kmだった。

 これに対して新型eキャンター(以下、新型車)では、5t級から8t級までの車種を用意した。キャビン(乗員室)の幅も先代車の「広幅」の1種類から、「標準幅」「広幅」「拡幅」の3種類に増やした。ホイールベースは2500mmと2800mm、3400mm、3850mm、4750mmの5種類がある。こうした改良によって、車種を先代車の1種類から28車種に増やした。

モジュール増やして航続距離を延ばす

 電動パワートレーンでは、モーターとインバーター、減速機を一体化した「eアクスル」を自社開発し、後輪軸に搭載した。プロペラシャフトをなくしたことで、リチウムイオン電池パックを搭載する床下のスペースを確保した。また、車種の拡大にも寄与した。

 前述したように、新型車はモジュール式のリチウムイオン電池を採用し、ホイールベースの長さに応じて電池モジュールを1 個から 3 個まで搭載できるようにした。同モジュールの個数によって、航続距離を3種類から選べる。同モジュールは中国・寧徳時代新能源科技(CATL)製である。

 具体的な航続距離は、電池モジュールを1個(容量41kWh)搭載する標準幅キャブの場合で116km(国土交通省審査値、以下同じ)、2個搭載する標準幅キャブの場合で約236km、3個搭載する広幅キャブと拡幅キャブの場合で324kmとなっている。