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 日本電気硝子は開催中の展示会「第14回 国際二次電池展」(東京ビッグサイト、2023年3月15日~17日)に「オール結晶化ガラス全固体ナトリウムイオン二次電池」を出展した(図1)。エネルギー密度は「LFP(リン酸鉄リチウム系リチウムイオン2次電池)並み」で、利用可能温度領域がセ氏-40~200度と広く、出力密度もドローンを飛ばせるほどに高いという。

図1 展示会に出展した「オール結晶化ガラス全固体ナトリウムイオン二次電池」(中央)
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図1 展示会に出展した「オール結晶化ガラス全固体ナトリウムイオン二次電池」(中央)
右のスマートフォン大サイズの電池は以前のタイプ。奥に、今回の新電池を搭載して飛行デモを披露したドローンが見える(写真:日経クロステック)

 同社はここ数年、全固体ナトリウム(Na)イオン2次電池を開発してきているが、今回のポイントは大きく2つ。(1)電解質を結晶化ガラスにした、(2)モジュールの多層化――である。

 (1)について同社はこれまで、正極と負極は結晶化ガラスにできていたものの、固体電解質については「β''アルミナ(Na2O・5.33Al2O3)」のままだった。β''アルミナはNaイオンの伝導率が高温時は高いが、低温領域では大きく低下してしまう。また、厚みを薄くするのが難しいという課題もあった。今回は、その固体電解質も結晶化ガラスにした(図2)。「これまでの研究開発で積み上げた知見やノウハウを詰め込んで実現した」(同社)という。

図2 オール結晶化ガラスのセル1枚
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図2 オール結晶化ガラスのセル1枚
(写真:日経クロステック)

 結晶化ガラスとは、非晶質のガラスを熱処理することで、ガラス中に直径数nmの微細な結晶を析出させたもの。熱膨張係数をほぼゼロにできるため、急激な温度変化にも割れないなど、従来のガラスの欠点のいくつかが解消する。