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 対話型AI(人工知能)のChatGPTが注目を浴びている。米OpenAI(オープンAI)は2023年3月1日(米国時間)、ChatGPTのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を一般公開した。企業がChatGPTの機能をサービスに組み込めるようになり、既存の事業が大きく変わる可能性が出てきた。さらに同月14日(米国時間)には、ChatGPTの基になった大規模言語モデル(LLM)である「GPT」の新版「GPT-4」が登場し、ChatGPT有償版のユーザーはGPT-4の機能の一部を利用できるようになった。

 国内では、「GPT-3」などのGPTシリーズをいち早く導入して新たなサービスを提供する企業が出始めている。企業はこういった自然言語系の生成AIとどう向き合っていけばいいのか、3つの企業の事例から活用の勘所をみていきたい。

クリエーターの創作を手助け

 メディアプラットフォーム「note」を運営するnoteは、GPTシリーズを積極的に活用している。コンテンツの作成の補助を目的としたアシスタント機能のベータ版にGPT-3を利用し、2023年3月23日時点で13種類の機能を一部のユーザー向けに提供している。

note AIアシスタント(β)の利用画面
note AIアシスタント(β)の利用画面
(出所:日経クロステック)
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 内容は大きく「記事のアイデアを出す」「文章を整える」「構成の提案」の3つに分けられる。機能の内容は、タイトルの提案から文章の要約、童話の作成まで多岐にわたる。童話の作成機能では、登場人物や物語の方向性などのキーワードを入力すると自動で物語を出力してくれる。

 一般ユーザーだけでなく、法人向けにプレスリリースの構成や求人募集文の作成を手助けする機能も用意した。業務の効率化に役立たせる狙いがある。noteの加藤貞顕代表取締役CEO(最高経営責任者)は、「クリエーターが頭の中で考えていることを外に出すツールとして活用してほしい」と狙いを説明する。

 もっとも、利用の際には工夫が必要だ。入力する内容次第で、生成する内容や質が変わってくるからだ。例えば、「ChatGPTの利用方法を伝えたい」と「ChatGPTの活用方法を伝えたい」という2つで切り口を提案してもらうと、全く違った答えが返ってくる。使い方にある程度の慣れが必要だ。

 今後は、GPT-3の代わりにChatGPTなどのAPIを利用する可能性もあるという。加藤CEOは「ユーザー向けのサービスはそのままで、裏側で利用するAPIを差し替えることは十分に考えられる」とする。