物流現場を自動化する自律走行搬送ロボット(AMR)の市場が拡大している。従来の自動搬送車(AGV)よりも使い勝手がよく、導入にかかる費用や時間を抑えられるという利点がある。AMRの国内大手Rapyuta Robotics(ラピュタロボティクス、東京・江東)は、2023年に物流倉庫向け販売台数として前年の1.7倍を見込む。複数のAMRを協調動作させる群制御AI(人工知能)技術を強みに、競合に先んじて事業の拡大を図る。
現在主流のAGVは、磁気テープなどの誘導体(ガイド)に沿って決まったルートを走行する。導入時にAGVが確実に走行できるようなルートを構築する必要があり、レイアウト変更などの費用や時間がかかっていた。AMRは、自己位置推定と環境地図作成を同時に行うSLAM方式を採用しており、現場の状況に合わせた自律的な走行が可能である。そのため、AGVに比べて導入の費用や時間を抑えやすい。
そのAMRで国内トップシェアを誇るのがラピュタロボティクスである。デロイトトーマツミック経済研究所(東京・千代田)によると、AMRのような倉庫内の協働ピッキングアシストロボット市場でラピュタロボティクスの国内シェアは2021年度に49.0%で1位。2022年度も46.2%で首位を維持する見込みだ。AMRの市場規模自体はAGVに比べてまだ小さいものの、物流需要の拡大に合わせてAMRの販売台数も増えるという。