国内のみならず世界からも注目を集めるスタジアムが、2023年3月30日に開業する。プロ野球・北海道日本ハムファイターズの本拠地である、「ES CON FIELD HOKKAIDO」(エスコンフィールド HOKKAIDO、北海道北広島市)である(図1)。
日本初となる開閉式屋根付き天然芝球場であるだけでなく、アジア初の球場一体型ホテル、世界初の球場内温泉・サウナ、さらに球場内ビール醸造所、全国の有名な飲食店などを併設する。これまでの“野球場”の概念をはるかに超える、エンターテインメント空間を創出している。
世界で毎月2400万人以上が視聴するという建設専門動画サイト「THE B1M」(The B1M)は、このスタジアムを「2025年までに建設される世界の最も偉大なスタジアム」のトップ5に選出した。
エスコンフィールド HOKKAIDOは、札幌市に隣接する北広島市に位置する。JR札幌駅から新千歳空港方面へ、電車で16分の距離にある。北海道日本ハムファイターズや日本ハム、電通グループなど4社が合弁で設立したファイターズ スポーツ&エンターテイメント(北海道北広島市)は、この地で宿泊施設やレストラン、商空間、住居棟、認定こども園、アウトドアアクティビティーなどを併設した街「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE(北海道ボールパークFビレッジ)」の建設を進めており、その中核施設が3万5000人収容のエスコンフィールドである。
座席チケットがなくても楽しめる
一見、スタジアムとは思えない高さ最大約70m、幅180mのガラス壁で覆われた建物内に入ると、天然芝独特の匂いが漂ってくる(図2)。
フィールドをぐるりと360度取り囲むコンコースからは、天然芝の緑が映えるフィールドと観客席上部に掲げられた世界最大級の2つの大型LEDビジョンが目に入ってくる(図3)。そのサイズは、横86m×縦16m。解像度は5400×990ドット(アスペクト比は32対9)。世界のスタジアムでも、この大きさのビジョンを2台設置した例は少ないという。
エスコンフィールドが、従来型のスタジアムと大きく異なるのは、野球観戦以外にも楽しめる施設が数多く併設されている点だ。その象徴がレフトスタンド側にある5階建てのビル「TOWER 11(タワー・イレブン)」である(図4)。温泉・サウナ、ホテル、ミュージアム、ワーケーション施設などがここに入っている。こうした施設は、試合のある・なしに関係なく、365日営業する。
試合のある日に座席のチケットがなくても、入場料や施設の使用料を支払えば、試合観戦できる(立ち見や施設内から観戦)。この根底には、野球ファンでなくても、誰でも楽しめる空間を創りたいという発想がある。