NOKは水素漏れを色の変化で知らせる「水素検知ゴム」と、切れ目や隙間を自己修復できるゴム材料「リンクスラバー」を「第19回国際水素・燃料電池展」(2023年3月15~17日、東京ビッグサイト)で参考出展した。いずれも現在開発中で、水素を扱うプラントなどでの利用を想定している。
水素検知ゴムはシリコーンに酸化タングステン(WO3)を混ぜたもので、酸化タングステンが水素ガスに接触すると還元されて濃い青色に変色する(HWO3)反応を利用する(図1、2)。配管のつなぎ目などを水素検知ゴムで覆っておくと、水素が漏れた場合に作業者が目視で異状を認識できる。
シリコーンを利用した理由は、通気性のある材料であるため。水素に接して濃い青色になった水素検知ゴムは、水素のない場所で放置すると空気中の酸素に接して元の酸化タングステンに戻り、色もグレーに戻る。NOKは、500回以上繰り返して使えると実験で確認している。この反応性を確保するうえでは通気性のある材料の方が望ましかった。「通気性の少ない材料に酸化タングステンを混ぜると、水素に接したときに表面のみが青くなる」(NOK)のであまり目立たなくなる。水素に対する感度は、用途に応じて調整していくという。
酸化タングステンの還元反応により、電気の抵抗値も変化する。この性質から、作業員が目視で判断するだけでなく、機械が自動で検知する用途にも応用できる可能性がある。