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 米Intel(インテル)は米AMD(Advanced Micro Devices)からGPU(Graphics Processing Unit)開発のエキスパートであるRaja Koduri氏を2017年に引き抜いて、GPU事業への本格的な進出を図った。今回、同氏がIntelを去ったことが、同氏および同社CEOのPat Gelsinger氏の2023年3月22日(米国時間)付Twitterで明らかになった(図1)。後述するように、2023年3月3日(米国時間)にはデータセンター向けGPUで複数の製品開発が中止になることが公表されており、GPU事業の立て直しが進んでいる。

図1 Raja Koduri氏とPat Gelsinger氏のツイート
図1 Raja Koduri氏とPat Gelsinger氏のツイート
(画像:Twitter)
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 Intelに入社後、Koduri氏は「Xe」と呼ぶ新たなGPUアーキテクチャーを開発した。このアーキテクチャーのGPUは、まず、2020年9月に発表のPC向けMPU(マイクロプロセッサー)「第11世代Core Processor」(開発コード名:Tiger Lake)にGPUコアとして集積された*1。2カ月後の同年11月には、同アーキテクチャーの単体GPU IC「Intel Iris Xe MAXグラフィックス」を発表した*2。同社が単体GPU ICを発売したのは22年ぶりだった。

 その後も、GPUの新製品発表は続いた。例えば、2022年3月に単体GPU ICの第2弾として「Arc A-シリーズ ディスクリート グラフィックス ファミリー フォー モバイル」(開発コード名:Alchemist)を*3、2022年8月にデータセンター向けGPUカード「Flexシリーズ」(開発コード名:Arctic Sound)を*4、2022年11月にHPC(High Performance Computing)/AI(人工知能)処理向けハイエンドGPU「Intel Data Center GPU Maxシリーズ」(開発コード名:Ponte Vecchio)をそれぞれ発表した*5

 新製品の発表は続いたものの、新規事業であるGPU部門(Accelerated Computing Systems and Graphics:AXG)の業績は芳しくなかった。例えば、2022年における同部門の売上高は前年比8%しか増えなかった(図2)。一方で、同じく新規事業のシリコンファウンドリー部門(Intel Foundry Services:IFS)は前年比14%増加した。2022年は、Intelで主力のPC向けMPU部門(Client Computing Group:CCG)とサーバー/データセンター向けMPU部門(Data Center and AI:DCAI)の売上高が大きく減少したことで、全社売上高は前年比20%減(GAAPベース)/16%減(Non-GAPPベース)、全社純利益は前年比60%減(GAAPベース)/65%減(Non-GAAPベース)と大幅な減収減益の決算となった。

図2 2022年第4四半期(10~12月)および通期の部門別売上高
図2 2022年第4四半期(10~12月)および通期の部門別売上高
(画像:Intel)
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