全1412文字
PR

 日本の宇宙ベンチャーispace(東京・中央)が開発した、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1の月着陸試験機は2023年3月21日、月周回軌道に入ることに成功した。今後、約1カ月は月周回軌道での軌道修正を行い、月面着陸に向けて準備を進めた上で同年4月末に月面着陸を試みる。成功すれば、民間が開発した月着陸機による世界初の月面着陸となる可能性が高い。

月周回軌道投入の成功に沸くispaceのHAKUTO-R管制室
月周回軌道投入の成功に沸くispaceのHAKUTO-R管制室
(写真:ispace)
[画像のクリックで拡大表示]

 月周回軌道への投入に成功したのは、月着陸試験機「シリーズ1ランダー」の1号機だ。2022年12月11日に米SpaceX(スペースX)の「ファルコン9」ロケットで打ち上げられた。一旦、地球から約140万kmまで離れて太陽の重力を利用し、必要エネルギーを最小に抑えて月周回軌道に到達できる軌道で月に向かっていた。

 同試験機は打ち上げからちょうど100日目となる2023年3月21日、月に最接近し、同日午前10時24分から月周回軌道投入のための小型エンジン(スラスター)噴射を実施した。噴射は成功し、同着陸機が月周回軌道に入ったと確認された。