西日本鉄道、三省製薬が2023年3月10日~14日、無人テナントに向けた実証実験を実施した。センサーやカメラ、AI、生体認証技術を応用した日立製作所のリテールテック関連技術を盛り込み、接客や顧客行動分析をデジタル化する。来店客がスマートフォンや財布を持たずに手ぶらで体験できる点が特徴だ。
3月13日の昼下がり、ソラリアプラザの1階に一際多くの来店客でにぎわう一角があった。三省製薬の色づき美容液「IROIKU」のポップアップ店だ。カメラやセンサーなどを組み合わせ、様々なデジタル技術による接客を体験できる。来店客はデジタル技術を体験しながら、自分の肌の特徴や悩みに合わせた色の美容液を選べる。
まず目を引くのが商品を展示する棚だ。棚のひとつひとつが使用成分や「リラックスシーン」や「ビジネスで好印象を残したいとき」といった利用シーンをイメージした展示になっている。気になった棚に手をかざすと、棚の上のモニターにそれぞれに対応した説明が表示される。
実際に体験してみると、手をかざすとほぼ瞬時に表示が切り替わる。日立によると、レーザー光を照射し、物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間から物体までの距離や方向を測定する「3Dライダー」を使っているという。3Dライダーは自動運転技術などに応用される。
ポップアップ店内には計4つの3Dライダーを設置した。商品案内の他にも、ポップアップストアの前をどれくらいの人が通ったか、ポップアップストア内をどのように人が歩き、どこにどれくらい滞在したかといったデータを収集できる。さらに棚には重量センサーを設置しているため、誰がどの商品のテスターを手に取り、どれぐらいの時間で棚に戻したかといった情報も得られる。来店客をシステム上で個人として特定することはないという。