ホンダは2023年3月29日、既製の自転車を電動アシスト化・コネクテッド化できるサービスを開発したと発表した。既製の自転車に後付けできる電動アシストユニットと、同ユニットに連動するスマートフォンアプリで構成する。
同サービス「SmaChari(スマチャリ)」を利用できる自転車の第1弾を、スポーツバイク(スポーツタイプの自転車)などの販売を手掛けるワイ・インターナショナル(東京・豊島)が、2023年9月に発売する予定だ。価格は22万円(消費税込み)で、発売から1年間で3000台の販売を目指す(図1)。
四輪車の電動化は進み、衝突・予防安全性能などは進化しているが、同じような機能を自転車で実現するのは限界がある。同日に東京都内で開いた新サービスの発表会見で、ホンダ SmartChari Business Directorの野村真成氏は、「自転車をもっと自由に安心して利用できるようにするために、今回のシステムを開発した。自転車通学をする高校生を支援したい」と強調した(図2)。
国内の自転車保有台数は約7000万台に達している。全世代で利用されており、特に9歳~19歳の利用比率(移動手段における自転車の分担率)が高い。その若い世代の中では、「高校生の自転車通学にいくつかの課題がある」と野村氏は指摘する。
自転車通学にいくつかの課題
自転車で通学する高校生は約180万人で、高校生全体の約56%を占める。通学路に急な坂道(50m以上の高低差)がある高校は2316校で、高校全体の約45%である。国土交通省の調査データによると、人口10万人当たりの自転車乗車時の高校生の交通事故死傷者数は全世代平均の約5倍に上り、その半数を通学中の事故が占めている。
また野村氏によると、全国の高校生2708人に聞き取り調査をしたところ、約48%に当たる1278人が自転車通学に体力的な負担を感じ、「電動アシスト自転車が欲しいと回答した」と述べる。
一方、「電動アシスト自転車の機種が限られている」、「電動アシスト自転車は欲しいが、盗難が怖くて購入に踏み切れない」といった意見もあったという。こうした課題の解決を狙い、ホンダは今回の新システムを開発した。