デジタル庁は2023年3月30日、システム開発体制を強化すると発表した。システム開発などを担う民間出身人材200人以上を2023年度内に採用するほか、スタートアップ企業や中小企業が調達に参加できる機会を増やす。
浅沼尚デジタル監が報道関係者向けに同日開いた、2023年1~3月におけるデジタル庁の取り組みを説明する報告会で明らかにした。なぜ今システム開発体制を強化するのか。
「内部開発」プロジェクトを増やす
従来、政府情報システムはITベンダーなどが開発を担ってきた。これに対し浅沼デジタル監は「柔軟な開発が難しい」「開発におけるノウハウの蓄積が難しい」として、デジタル庁内での開発体制強化を含む新たな施策を明らかにした。
具体的な強化施策は2点ある。1点目がアジャイル開発やクラウドサービスでの開発に強いスタートアップや中小企業への発注機会を増やすことだ。デジタル庁はこれまでもテクノロジーマップや防災DXサービスマップを作成するなどして、スタートアップや中小企業の新技術やサービスを可視化してきた。今後は、調達価格をあらかじめ決めたうえで技術点を競う「企画競争調達」を増やす。これによって優れた技術を持つがスタートアップや中小企業が調達に参加しやすくなるとみる。
また、これまではシステム開発の際、プロジェクトマネジメントなど含めて大型プロジェクトとしてITベンダーに発注することが多かった。今後はデジタル庁職員のプロジェクトマネジメント機能を強化し、分割して発注できるようにする。予算が数千万円~数億円のプロジェクトではスタートアップや中小企業が受注し開発・保守運用が可能になるとみる。