米Google(グーグル)が、半導体回路設計・試作の無償サービスを通じて、半導体人材の取り込みを進めている。設計ツールを提供するほか、チップ製造費用も負担し、専門人材ではなくても目的のチップを造れるようにする。東京大学などで学生を対象に体験イベントを開催しており、人材獲得や設計データ蓄積を狙う。
グーグルの半導体開発サービス「Google Open Silicon」は、基本的なプログラミングの技能があれば、専門人材以外でも容易に半導体を設計できるのが特徴だ。しかも、一部の設計データをオープンソースとして蓄積しており、それを活用してチップを造れる。オープンソースソフトウエアの開発共有サイト「GitHub」の半導体版ともいえる。グーグルにとっては、多くのユーザーに参加してもらうことで、開発者コミュニティーを拡大できる利点がある。
東京大学や東京工業大学は2022年以降、学生や教職員を対象に同サービスを利用した半導体開発イベントを複数開催した。イベントを告知すると50人ほどの定員がすぐに埋まるほど人気だという。東京大学のイベントでは医学や天文学、経済学など、半導体以外の分野の学生が多数参加した。参加の動機は「特定用途の半導体を造る知識が欲しい」「半導体開発を経験してみたい」といったものだ。