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パワー半導体のイベント「PCIM Europe 2023」には新型コロナウイルス禍前の活気が戻りつつあった(写真:日経クロステック)
パワー半導体のイベント「PCIM Europe 2023」には新型コロナウイルス禍前の活気が戻りつつあった(写真:日経クロステック)
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 パワー半導体の世界最大級の年次イベント「PCIM Europe 2023」が2023年5月9~11日にドイツ・ニュルンベルクで開催された。今回は車載向け製品が主役だった。特にシリコンカーバイド(SiC)やガリウムナイトライド(GaN)といった新世代材料を利用した製品の展示などが脚光を浴びた。そんなPCIMから、注目すべき10個の話題を紹介する。

SiCやGaNの躍進が目立っていた(出所:日経クロステック)
SiCやGaNの躍進が目立っていた(出所:日経クロステック)
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①展示エリアは過去最大、中国企業が多数

 今回のPCIMは出展社数が500社を超えるなど、新型コロナウイルス禍前の水準に戻った。展示エリアの面積は約3万m2と、過去最大に達している。出展社の過半がドイツ外である。

 展示場でよく目にしたのは中国企業だ。PCIMの主催者によれば、「出展社数でいえば、中国企業は日本企業の2倍以上」だという。

 先端ロジック半導体に対する米国政府の規制もあって、中国が現在注力しているのがパワー半導体だ。ロジック半導体のような微細な先端プロセスが必要ではなく、中国でも取り組みやすい。

 例えば、世界最大手の鉄道車両メーカー、中国中車(CRRC)傘下のパワー半導体子会社である英Dynex Semiconductor(ダイネックス・セミコンダクター)は、車載向け製品を出展した。従来のシリコン(Si)ベースのIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)とSiCの両方についてパワーモジュール(パワー半導体素子を搭載したモジュール)を展示しており、いずれも自社で製造した素子を搭載している。「鉄道向け製品もあるが、車載向け製品を造る実力はある」と日本のパワー半導体メーカー幹部は評価するだけに、車載分野で無視できない存在になりつつある。