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歴史的建築物とアートでまちづくり

 大館再生の計画が始まったのは2006年で、H&deMが旧中央警察署の再生案を検討し始めた。その際には、ギャラリーなどいくつかの建築を追加することによって、旧中央警察署を中心とした新しい文化施設をつくるという提案だった。単に古い建築を残すということではなく、都市とともに進化し、必要とされる場をつくることを意図していた。

建物内はもちろん、公共スペースのライティングデザインを行い、周辺に「光害」を与えることなく快適な光環境を提供した。この建物は旧警察宿舎。1860年代に最初につくられた時は3階建てだったが、1905年にもう一層増築された(写真:©Arup)
建物内はもちろん、公共スペースのライティングデザインを行い、周辺に「光害」を与えることなく快適な光環境を提供した。この建物は旧警察宿舎。1860年代に最初につくられた時は3階建てだったが、1905年にもう一層増築された(写真:©Arup)
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 2010年には、香港の都市計画局が旧中央警察署建築に関するより詳細な計画目標を規定し、この街区の建築高さを80mに抑えることや歩行者空間の位置を維持することなどを盛り込んだ。計画の修正を求められたH&deMは、保存再生を得意とする英国の建築家、パーセル・ミラー・トリットンと協働し、複数の建物を結ぶ新しいシークエンスの提案とともに外部空間を広げながら既存の都市へとなめらかにつないでいった。大館が、生き返っていくうえでの重要なプロセスだった。

針金を組み合わせた、古い鉄筋コンクリートの「鉄筋」部分。直径5㎜ほどの針金を2、3本の束にしてねじっていた。現在一般的に使用される鉄筋と同等の引っ張り強度を持つ(資料:©Arup)
針金を組み合わせた、古い鉄筋コンクリートの「鉄筋」部分。直径5㎜ほどの針金を2、3本の束にしてねじっていた。現在一般的に使用される鉄筋と同等の引っ張り強度を持つ(資料:©Arup)
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旧ビクトリア刑務所内。150~170年前の建築の設計図も、施工時の情報も全くないなかで、プロジェクトは現況調査から始まった(写真:©Arup)
旧ビクトリア刑務所内。150~170年前の建築の設計図も、施工時の情報も全くないなかで、プロジェクトは現況調査から始まった(写真:©Arup)
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