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洋上風力発電新法が普及の起爆剤に

 洋上風力発電の普及に期待がかかる日本は、欧州勢から見ても魅力的な市場で、外資が次々と参入を決めている。もちろん日本企業も有望市場を奪われるのを横目で見ているわけにはいかない。

 遠浅の海が少ない日本では、欧州で主となる着床式ではなく、浮体式が適していると言われている。日本の技術力を結集して技術改善していけば、浮体式で日本が世界をリードできる可能性もある。

 実際、18年夏から、日立造船や丸紅が浮体式洋上風力発電の試運転を始めている。その風車部分の羽根は軽量化を考えて、これまで一般的だった3枚羽根ではなく2枚羽根だ。

 また、11月6日には「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案」が閣議決定された。いわゆる洋上風力発電新法と呼ばれるものだ。これが今臨時国会で成立すれば、一般海域(領海・内水のうち、漁港、港湾区域などを除く海域)において、占有できる期間が促進区域に限り、5年から30年に延長可となる。そうすれば、一気に洋上風力発電ファームの開発が進むだろう。この新法の成立の日を待っているプロジェクトがすでにいくつもあるそうだ。

 台風の多い日本で、巨大な風車を設けることに倒壊などの危険性を指摘する声もあるが、陸上の風力発電では、チャレナジーなどのベンチャー企業が、「垂直軸型マグナス風力発電機」のように台風でも発電できる技術を日々高めている。

 海洋生物への影響、バードストライクなど野鳥への影響、海域の漁業など、考え始めるとステークホルダーの多さに足踏みしてしまいそうだが、様々な技術力を結集した皆にとって幸せな日本らしい発電ができないものかと期待が膨らむ。アジア内では、日本や台湾が洋上風力発電では先行しているが、近い将来には、韓国、ベトナム、フィリピンがこれに続くと見られており、この分野でも日本の経験が生かされようになることを期待する。

スコットランド、アバディーンの洋上風力発電ファーム(写真:©Arup)
スコットランド、アバディーンの洋上風力発電ファーム(写真:©Arup)
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菊地 雪代(きくち・ゆきよ)
菊地 雪代(きくち・ゆきよ) アラップ東京事務所アソシエイト/シニア・プロジェクト・マネージャー。東京都立大学大学院工学研究科建築学専攻修了後、設計事務所を経て、2005年アラップ東京事務所に入社。一級建築士、宅地建物取引士、PMP、LEED評価員(O+M)。アラップ海外事務所の特殊なスキルを国内へ導入するコンサルティングや、日本企業の海外進出、外資系企業の日本国内プロジェクトを担当。
Cameron Dunn / 執筆協力
アラップヒューストン事務所、Associate / US Offshore Wind Leader
Peter A Thompson / 執筆協力
アラップ香港事務所、Director of Infrastructure / East Asia Energy Business Leader