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幹線道路をまたいで人の流れを生み出す

 トラス同士の接合部が複雑なので、アラップと施工者であるZublinは、協働して施工順序を検討した。複雑な荷重の伝達経路を想定していたため、施工中にどこかの応力が固定されると部材にたわみが生じてしまう。このたわみをコントロールすることが重要だった。トラス自体の反りやゆがみに加えて、施工途中の構造の応力と変位を考慮しながら手順や支保工の位置を決めていった。

BLOX上空より。建物形状が複雑であることがよく分かる(写真:© Dragor Luftfoto)
BLOX上空より。建物形状が複雑であることがよく分かる(写真:© Dragor Luftfoto)
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 BLOXの構造や施工で最大の見せ場は、敷地を横切る幹線道路を建築がまたぐところだ。そうすることによって、人々は1日2万5000台という交通量の道路を渡らなくても、建物内を通ることで入り江の水際に行けるようになる。

 幹線道路をまたぐのは、1階のスラブに当たる部分だ。騒音や振動を抑えるために、575㎜の梁せいを持つプレストレスコンクリート梁を架けた。道路の封鎖時間は最低限に制限されていたため、道路をまたぐトラスを架ける際には、まずフラットデッキを構築して、その下の道路を通行する車両を保護する対策を施した。

設備配管のBIMモデル。複合用途に対応するため、設備機械室を複数箇所設けることで、それぞれの設備要求を満たした(資料:© Arup)
設備配管のBIMモデル。複合用途に対応するため、設備機械室を複数箇所設けることで、それぞれの設備要求を満たした(資料:© Arup)
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内部空間。大部分に輻射(ふくしゃ)空調が取り入れられている(写真:© Blox.de_Rasmus Hjortshoj)
内部空間。大部分に輻射(ふくしゃ)空調が取り入れられている(写真:© Blox.de_Rasmus Hjortshoj)
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 BLOXは、コペンハーゲンのウオーターフロントエリアを、人々の集まる場所へと再開発した一翼を担った。昼間には子どもたちが遊び、夕方には人々が段差に腰掛けて語り合う。パフォーマンスのステージのような役割を果たす、新しいランドマークの誕生だ。

アラップの関連サイト(英語)

プロジェクト概要

発注者:Realdania
意匠設計:OMA
ローカルアーキテクト:C.F. Møller Architects
構造設計:Arup
建築設備、環境設計:Arup

菊地 雪代(きくち・ゆきよ)
菊地 雪代(きくち・ゆきよ) アラップ東京事務所アソシエイト/シニア・プロジェクト・マネージャー。東京都立大学大学院工学研究科建築学専攻修了後、設計事務所を経て、2005年アラップ東京事務所に入社。一級建築士、宅地建物取引士、PMP、LEED評価員(O+M)。アラップ海外事務所の特殊なスキルを国内へ導入するコンサルティングや、日本企業の海外進出、外資系企業の日本国内プロジェクトを担当。