幹線道路をまたいで人の流れを生み出す
トラス同士の接合部が複雑なので、アラップと施工者であるZublinは、協働して施工順序を検討した。複雑な荷重の伝達経路を想定していたため、施工中にどこかの応力が固定されると部材にたわみが生じてしまう。このたわみをコントロールすることが重要だった。トラス自体の反りやゆがみに加えて、施工途中の構造の応力と変位を考慮しながら手順や支保工の位置を決めていった。
BLOXの構造や施工で最大の見せ場は、敷地を横切る幹線道路を建築がまたぐところだ。そうすることによって、人々は1日2万5000台という交通量の道路を渡らなくても、建物内を通ることで入り江の水際に行けるようになる。
幹線道路をまたぐのは、1階のスラブに当たる部分だ。騒音や振動を抑えるために、575㎜の梁せいを持つプレストレスコンクリート梁を架けた。道路の封鎖時間は最低限に制限されていたため、道路をまたぐトラスを架ける際には、まずフラットデッキを構築して、その下の道路を通行する車両を保護する対策を施した。
BLOXは、コペンハーゲンのウオーターフロントエリアを、人々の集まる場所へと再開発した一翼を担った。昼間には子どもたちが遊び、夕方には人々が段差に腰掛けて語り合う。パフォーマンスのステージのような役割を果たす、新しいランドマークの誕生だ。
プロジェクト概要
発注者:Realdania
意匠設計:OMA
ローカルアーキテクト:C.F. Møller Architects
構造設計:Arup
建築設備、環境設計:Arup
