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テイ川との闘い

 テイ川に面して建てるという立地条件も大きな難関であった。敷地があるテイ川河口付近は水分中の塩分濃度が高い。しかも、テイ川は英国の中でも最も流れの速い川の1つで、川に面して立つ建物は基礎部やファサード面に波の影響を大きく受ける。アラップは構造やファサード、音響、ライティング、火災安全に加えて、地盤工学、土木工学、海洋工学のエンジニアリングも担当し、テイ川の影響を徹底的に検証した。

 塩分濃度の高い水は塩害を生む。この対策としてアラップは、微細なシリカパウダーを混ぜ込んだ特別配合のコンクリートを使用してコンクリート密度を高めたうえで、CPF(controlled permeability formwork)と呼ばれる熱可塑性樹脂を用いた型枠を用いることで表面の耐久性も高めた。波が直接かかる範囲にはステンレスの鉄筋も採用している。

 テイ川の脅威は塩害だけではない。200年に1度の嵐の日には波は3mの高さに達すると予測されるため、1階レベルはこの波の荷重をもろに受ける。1階の外壁面やガラス面はこの波荷重に対しても安全なように設計がなされている。

テイ川にさらされる外壁(写真:©Hufton+Crow)
テイ川にさらされる外壁(写真:©Hufton+Crow)
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