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 中国北京の郊外に、ヒトデ形とも、不死鳥形とも呼ばれるターミナルを持つ、巨大な国際空港が2019年9月にオープンした。意匠設計は故ザハ・ハディド氏による。それまで北京の顔として稼働してきたのは「北京首都国際空港」で、今回開港した「北京大興国際空港」は第2の首都空港ともいえる。

 北京首都国際空港に、ノーマン・フォスター氏の設計によるターミナル3が整備されたのが08年で、それからまだ間もないように感じる。だが、14年には北京首都国際空港の年間旅客数が約8600万人と世界第2位の利用者数となり、処理能力が限界に達していた。そこで北京大興国際空港が計画されたのだ。

「北京大興国際空港」の内部。意匠設計は故ザハ・ハディド氏。アラップは火災安全設計、乗客と物流のシミュレーション、構造のピアレビューを行った(写真:Hufton+Crow)
「北京大興国際空港」の内部。意匠設計は故ザハ・ハディド氏。アラップは火災安全設計、乗客と物流のシミュレーション、構造のピアレビューを行った(写真:Hufton+Crow)
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 ターミナルは長辺が約1.2kmあり、建築面積は70万m2超、単一の構造ターミナルとしては世界最大規模だ。開港時の年間旅客数は約4200万人。今後の利用者は25年に最大約7200万人、最終的に約1億人に上ると試算されている。

ヒトデ形とも、不死鳥形とも呼ばれる北京大興国際空港ターミナルを上空から見下ろす。北京中心部から南に約46km離れた場所に位置する(写真:Xinhua News Agency)
ヒトデ形とも、不死鳥形とも呼ばれる北京大興国際空港ターミナルを上空から見下ろす。北京中心部から南に約46km離れた場所に位置する(写真:Xinhua News Agency)
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 北京大興国際空港の巨大さは、設計時の課題を難しくした。特に、空港中心部に存在する、約50万m2の広さを誇る地下2階から地上4階までの吹き抜け空間は、世界最大の「防火区画」で、火災安全設計で最も苦労した場所だそうだ。

 アラップは、「パフォーマンスベース(性能検証)」の火災安全計画を立て、行政の承認を得た。その鍵となった対策は、「避難方法」「排煙」「鉄道とのインターフェース」「屋根の防火」の4点だ。

空港の地下には鉄道が複数路線乗り入れており、利便性は非常に高いが、火災安全の観点からは、より複雑な検討が必要となった(写真:Hufton+Crow)
空港の地下には鉄道が複数路線乗り入れており、利便性は非常に高いが、火災安全の観点からは、より複雑な検討が必要となった(写真:Hufton+Crow)
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北京大興国際空港の内部。チェックインカウンターの様子(写真:Hufton+Crow)
北京大興国際空港の内部。チェックインカウンターの様子(写真:Hufton+Crow)
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