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空港内のマップ上でレゴを走らせる

 利害関係者の意見調整も同様に、大きな課題であった。こちらを立てれば、あちらが立たずという構図はどこでも見受けられるものだが、空港のように関係者が大勢の場合にはその解決が非常に困難なものとなる。この問題については、空港内のマップとブロック玩具「レゴ」のミニフィギュアを活用したユニークなシミュレーションを実施。これが円滑な意見調整に大いに役立つ結果となった。

空港内のマップとレゴのミニフィギュアを利用することで、人や物の動線を容易にイメージできる(写真:Arup)
空港内のマップとレゴのミニフィギュアを利用することで、人や物の動線を容易にイメージできる(写真:Arup)
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 このようなプロセスを経て空港のオペレーションのルールを定義した後、実際の場面を想定したシミュレーションを行った。利用者の属性や利用時間帯といった分類を設定し、その分類ごとに複数の行動シナリオを想定する非常にタフな作業である。空港利用客1人をとってみても複数の行動パターンが考えられることから、シナリオは無数に存在することがお分かりいただけるだろう。

 アラップは、最終的に約1万7500パターンのシナリオを作成し、それぞれに対してシミュレーションを実施した。最も大規模なものは、チェックインから搭乗までのエンド・ツー・エンド試験で、約1万4000人に及ぶボランティアの協力の下で行った。このように実際の環境を想定したシミュレーションを実施することで、より具体的なフィードバックを収集することが可能となり、これがリスクの低減に大いに役立った。

 そして迎えた14年6月の運用開始初日、空港担当者のブライアン・ウッドヘッド氏は次のように語った。「この規模のターミナルで不具合なくオープンを迎えたケースはそう多くはないだろう。ある利用客から『これは本当に初日ですか?』と尋ねられた。これほど素晴らしいお褒めの言葉はない」