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低環境負荷材としてのコルクの魅力
環境負荷が低い木材の中でも、コルクは樹皮を原料とするため、樹木を伐採することなく8年サイクルで採取できる。再利用も容易だ。本プロジェクトで使ったコルク材は、コルク栓のために採取する過程で出た副産物や廃棄物のコルクを加熱し、圧延して製造した。
コルクの原料となる木は育成期に二酸化炭素(CO2)を吸収する。さらにコルクハウスでは加工や施工段階のCO2排出量を低く抑えることで、原料から竣工までトータルのCO2排出量を削減する「カーボンネガティブ」を達成した。カーボンネガティブとは、CO2吸収量がCO2排出量を上回る状態をいう。
また運用時も含めたライフサイクルにおけるCO2排出量の合計は、建物の寿命を60年とした場合で619kg・CO2/m2と試算されており、英国の標準的な住宅と比較すると約85%の削減となる。
参考まで、日本の国土交通省が主導する環境性能評価システムCASBEEの参照値によれば、日本の標準的な木造住宅でライフサイクルにおける総CO2排出量は約100m2。寿命を30年と想定しても1411kg・CO2/m2と試算される。