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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で移動が制限され、飛行機に乗る機会もすっかり減ってしまった昨今だが、世界的な環境意識の高まりも背景に、空港における温室効果ガス削減への取り組みが進んでいる。

 2021年3月には、成田空港が2050年度までに二酸化炭素(CO2)排出量を15年度比で半減させるとの目標を発表した。世界の他の空港ではどのような取り組みが行われているのだろうか?

米国にあるサンフランシスコ国際空港(SFO)のハーベイ・ミルク第1ターミナル。アラップは、2015年末に設計チームの一員として選定された(写真:Austin Webcor)
米国にあるサンフランシスコ国際空港(SFO)のハーベイ・ミルク第1ターミナル。アラップは、2015年末に設計チームの一員として選定された(写真:Austin Webcor)
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 米国カリフォルニア州にあるサンフランシスコ国際空港(SFO)の第1ターミナルは、1960年代に建設された。その後の数十年間、特に2000年以降は航空需要が高まり、増築や改修が必要となった。以降、飛行スケジュールや空港運営に影響を与えないような改修方法が検討されてきた。

 ハーベイ・ミルク第1ターミナルと名付けられた新ターミナルは、約11万m2の広さだ。建設は16年に始まり、その一部である9つの新ゲートが19年7月にオープンした。20年5月にはさらに9つのゲートを含む第2ステージがオープンし、21年半ばに7つのゲートが稼働する予定だ。増築や改修にかかった全体の総工費は約24億米ドル(約2600億円)。23年に最終の2つのゲートが完成した際には、1日当たり約400便の運航と、年間利用者約1700万人に上ることを予測している。

大きな窓は、アメリカの建材スタートアップ企業であるビューの、「ビュー・ダイナミック・グラス」を使用したエレクトロクロミック・グレージング(ダイナミック・グレージング)を選択した。電圧や電流をかけることで、必要に応じて透明と着色の状態を切り替えられる。まぶしさを抑え、日射による熱取得を低減できる(写真:Austin Webcor)
大きな窓は、アメリカの建材スタートアップ企業であるビューの、「ビュー・ダイナミック・グラス」を使用したエレクトロクロミック・グレージング(ダイナミック・グレージング)を選択した。電圧や電流をかけることで、必要に応じて透明と着色の状態を切り替えられる。まぶしさを抑え、日射による熱取得を低減できる(写真:Austin Webcor)
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 SFOの運営者は以前から持続可能性に関心を寄せており、空港の「戦略的計画2017~21」では、21年までにネットゼロエネルギーとすることを目指してきた。この計画の一環として、SFOは廃棄物ゼロ、温室効果ガスの排出量を50%削減(1991年比)、節水を最大限に行い、新規および既存の施設を地球にとっても人にとっても“健康的”、いわばサスティナブルなものにしたいと考えた。

 さらに同社は「ZERO(Zero Energy and Resilient Outcomes)委員会」を設置し、SFOにおける進行中、あるいは計画中のあらゆる空港プロジェクトをレビューした。レビューの観点は、ライフサイクルコスト、トリプルボトムライン(企業活動を経済面のみならず、社会面、環境面からも評価しようとする考え方)、その他の機器システム分析である。

空港特有のエネルギー負荷の高い設備がある。例えば、エプロンや誘導路を照らすハイマスト照明、ターミナル経由で充電される機器充電ステーション(手荷物運搬車や航空機の牽引車用)、手荷物運搬システム(BHS)、駐機中の航空機への電力供給などがあり、それらを詳しく分析した(写真:Arup)
空港特有のエネルギー負荷の高い設備がある。例えば、エプロンや誘導路を照らすハイマスト照明、ターミナル経由で充電される機器充電ステーション(手荷物運搬車や航空機の牽引車用)、手荷物運搬システム(BHS)、駐機中の航空機への電力供給などがあり、それらを詳しく分析した(写真:Arup)
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