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 中国・上海から西に約100kmに位置する太湖は、江蘇省と浙江省の境界にある大きな湖である。その景観の美しさから、中国政府の国家重点風景名勝区に指定されている。この太湖湖畔、太湖新城中心ビジネス街に隣接する場所で、最新の文化・展示・コンベンション施設「蘇州湾文化中心」が2020年12月にオープンした。本施設は北側の「蘇州オペラハウス」と南側の「呉江展示センター」で構成され、2本のリボンで結んだような形をしている。

アラップは、設計コンペ時からポルザンパルク氏をサポートし、この特徴的なデザインを実現するために、構造設計とファサードエンジニアリングを担当した(写真:Chen Xudong Architecture Photography)
アラップは、設計コンペ時からポルザンパルク氏をサポートし、この特徴的なデザインを実現するために、構造設計とファサードエンジニアリングを担当した(写真:Chen Xudong Architecture Photography)
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 設計はフランスに拠点を置く、モロッコ出身のクリスチャン・ド・ポルザンパルク氏が手掛けた。建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞を1994年に受賞。日本でも集合住宅のプロジェクトを完成させた他、2018年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞するなど、国内でもなじみのある建築家だ。

 このたび設計したオペラハウスなどは、音楽関連の施設を多数設計してきた彼の得意分野ともいえる。

「蘇州湾文化中心」を俯瞰(ふかん)した写真。メビウスの輪のように8の字を描くリボンが施設全体を覆っている(写真:Chen Xudong Architecture Photography)
「蘇州湾文化中心」を俯瞰(ふかん)した写真。メビウスの輪のように8の字を描くリボンが施設全体を覆っている(写真:Chen Xudong Architecture Photography)
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オペラハウス側断面CG(資料:Christian de Portzamparc)
オペラハウス側断面CG(資料:Christian de Portzamparc)
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 このプロジェクトは、敷地面積が10万m2以上を占める。蘇州市が進めるマスタープランを構成する、著名なプロジェクトの一環だ。

 「蘇州オペラハウス」と「呉江展示センター」の2つの建物は、それぞれ地上部の延べ面積が約4万m2で、地下には駐車場や駅への通路などの機能を持つ。蘇州オペラハウスは、1600席を擁する国際標準のオペラ劇場や、多機能ステージ、600席のモジュラーホール、IMAXシアターを備える。

 呉江展示センターには、博物館や展示(エキシビション)エリア、会議センターが入る。

上側にかかるリボンは、湖と街の素晴らしい景観を眺めるための歩行者用の橋にもなっている(写真:Chen Xudong Architecture Photography)
上側にかかるリボンは、湖と街の素晴らしい景観を眺めるための歩行者用の橋にもなっている(写真:Chen Xudong Architecture Photography)
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 2つの建物を、2本の橋のようなもの、通称「フライング・ダブルリボン」で結んでいるのがこのプロジェクトの最大の特徴だ。ダブルリボンは、一部で歩行者用の橋や屋根、庇(ひさし)、ファサードとなって建物の端まで続き、さらに50mのキャンチレバーとして飛び出している。1枚のリボンは全長約370m、最も長いスパンは約115m、その幅は約23mだ。

構造モデル。リボン部がどのように支持されているのかが分かる(資料:Arup)
構造モデル。リボン部がどのように支持されているのかが分かる(資料:Arup)
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断面図(資料:Christian de Portzamparc)
断面図(資料:Christian de Portzamparc)
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