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調査結果で浮かび上がる、意外な夜間照明条件

 調査の結果、特徴的だったのは多くの人たちが「明るい場所=安全」という認識をしているわけではない、ということだった。「安全でない」という回答があった場所の平均照度は、「安全」とされる場所で測定した平均照度の2倍程度あった。周囲や対面から来る人の鉛直面照度が高いからといって、意外にも「安全」と認識されているわけではなかった。

 また、複数の照明タイプがあり、異なる反射面があるような照明環境の方が好まれることが分かった。これらは、例えば投光器で辺り一帯を明るくしても、その周辺部とのコントラストの大きさや光源のまぶしさによって他の対象物が見にくくなり、逆に不安を覚えることに起因すると考えられる。

 さらに、安全と認識される場所は、光源の色温度が3000K(電球色)~4000K(白色)と暖色寄りの照明に限定され、それ以上のクールな白色は好まれにくい。物の色の見え方に影響する演色性については、自然光のように色の再現性の高い、高演色のものが特に好まれる傾向があった。

「安全でない」と認識された通りの例。色温度は7800Kと青白く、演色性もRa50以下だった。(写真:Arup)
「安全でない」と認識された通りの例。色温度は7800Kと青白く、演色性もRa50以下だった。(写真:Arup)
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「安全」と認識された通りの例。暖かい色温度の照明を使用し、地面や壁面が柔らかく照っている。(写真:Arup)
「安全」と認識された通りの例。暖かい色温度の照明を使用し、地面や壁面が柔らかく照っている。(写真:Arup)
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 オーストラリアをはじめ、一般的な屋外照明基準は、主に照度を示すばかりだ。しかし、今回の照明調査では、基準を満たしていても、その照明された面以外の周辺環境の明るさ感や、色の見え方など、人の行動に伴った連続的な視環境を考慮しなければ、安全性の評価に結び付かないことが明らかになった。

左は、基準準拠に必要な照度を考慮した一般的なアプローチ。それに対して右は、調査結果に基づき提案した複層的な照明アプローチを示している(資料:Arup)
左は、基準準拠に必要な照度を考慮した一般的なアプローチ。それに対して右は、調査結果に基づき提案した複層的な照明アプローチを示している(資料:Arup)
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