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経済的な架構計画を模索

 既存駐車場の上に増築することをテーマに掲げ、設計チームは当初から地上の増築部分には軽量な鉄骨(S)造を提案してきた。ギャラリーやロビー空間に快適な空間をつくり出すために、1辺を48mとする五角形のフラクタルルーフを提案。構造は鉄骨の立体トラスフレームとした。

 当然、既存駐車場は、上部に増築されるということを想定していないので、地下の既存鉄筋コンクリート(RC)造と上部S造の間に、1.5mのRC補強ゾーン、いわゆる補強RCトランスファービームを設け、ここで新築と既存のグリッドの調整を行った。

地下マットスラブの補強の様子(写真:Arup)
地下マットスラブの補強の様子(写真:Arup)
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 地上5階建ての当代館は、大小様々な大きさのボックス(展示室)が積層しながらずれていく計画だ。しかし、全くのランダムなボックスの積層では、構造計画として経済的ではなくなってしまうことから、建築のイメージを変えることなく経済的な架構計画とする方法を模索した。

Arup 空調システムは、展示空間の空気質を厳密に制御するように設計しており、全ての空気処理装置は展示空間に併設した機械室に納めている(写真:Arup)
Arup 空調システムは、展示空間の空気質を厳密に制御するように設計しており、全ての空気処理装置は展示空間に併設した機械室に納めている(写真:Arup)
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 結果として、建物に2つの構造計画を入れ込むこととなった。

 1つは耐震コア。ランダムなボックスを耐震要素とすると、どうしても水平力の移送が多く発生し、メカニズムが明快ではない。そこで、既存の地下駐車場を一部解体して、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造のコアを入れ、それを地上5階まで伸ばすという計画だ。

 ただし、配置可能なコアは限定されており、アンボンドブレースを配した1辺8m程度のコアを4カ所、中央には五角形平面のペンタゴンコアを配置した。

 2つ目は貫通柱の配置。特に軸力の大きい2階では柱が不連続となることを避ける計画とし、他の各階においても柱が極力連続するように意匠設計側に求めた。

非露出コアの建て方風景(写真:Arup)
非露出コアの建て方風景(写真:Arup)
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