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ユーザー目線に立った設計提案

 アラップの意匠設計チームはコンセプトデザインの初期段階から、ユーザー目線に立った設計を提案した。例えば、駅の躯体(くたい)の形状がモジュール化されたことにより、各駅が同じような印象となってしまう。そこで、各駅の位置する地域性を反映した天然石などを用いたユニークな仕上げとした。

 また、自然光が地下のプラットホームにまで届くように天窓を設置。地下鉄にも関わらず、明るく、自然を常に感じられる特徴的な駅を実現させた。この自然光は光源を確保するだけではなく、乗客を地上エントランスからプラットホームへ導く役割も担っている。

 天井の仕上げには「折り紙天井」と呼ぶデザインを用いた。巨大な反射板としての機能を持つ折り紙天井は、3Dシミュレーションを用いて形状を決定し、自然光と照明による光を利用者にまぶしさを感じさせずにプラットホームまで届ける役割を果たしている。

プラットホームから見上げた折り紙天井の様子。柔らかい光がプラットホームに降り注ぐ(写真:Rasumus Hjortshoj, COAST)
プラットホームから見上げた折り紙天井の様子。柔らかい光がプラットホームに降り注ぐ(写真:Rasumus Hjortshoj, COAST)
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駅構内の照明は駅の利用者から直接見える位置には配置されていない。これは利用者がまぶしさを感じないようにするための配慮だ(写真:Rasumus Hjortshoj, COAST)
駅構内の照明は駅の利用者から直接見える位置には配置されていない。これは利用者がまぶしさを感じないようにするための配慮だ(写真:Rasumus Hjortshoj, COAST)
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