2016年6月16日、Bluetooth SIG(Special Interest Group)がBluetoothの次期標準として「Bluetooth 5」を公式に発表しました。今回は、当時話題になったトピックを、過去の経緯を踏まえて、いくつか紹介します。
6年ぶりのメジャーバージョンアップ
Bluetooth 5はBluetooth 4.2に続くBluetooth仕様のアップデートです。トピックとしては、(1)従来は1Mビット/秒に固定されていたLE(Low Energy)に2Mビット/秒の倍速モード(2Mbps LE PHY)が追加、(2)メッシュ機能が取り入れられて通信可能距離が従来比で約4倍に延長、(3)ペアリングが不要の一方向通信(Connection less broadcast)の容量が従来比約8倍になる、といったものでした。
Bluetoothの歴史を振り返ると、Bluetoothのメジャーバージョンが上がるのは、2010年発表の4.0以来のことです。実に6年ぶりとなります。ここまで、新しいPHY層が導入される度に、メジャーバージョンを上げてマイナーバージョンを0にリセットしてきました。
バージョン | 発表時期 | 概要 |
---|---|---|
1.0 | 1999年12月1日 | 最初のバージョン |
1.1 | 2001年2月22日 | 誤記の訂正 |
1.2 | 2003年11月5日 | AFH、ESCO |
2.0 | 2004年10月15日 | EDR 高速モード(2Mbps、3Mbps) |
2.1 | 2007年7月26日 | SSP ペアリング |
3.0 | 2009年4月21日 | +HS 高速モード(Bluetooth over Wi-Fi) |
4.0 | 2010年6月30日 | LE モード |
4.1 | 2013年12月3日 | LE L2CAP Connection Channel (IPv6 over Bluetooth) |
4.2 | 2014年12月2日 | LE Secure Connection、LE Data Packet Length Extension |
ESCO:Enhanced Synchronous Connection Oriented
EDR:Enhanced Data Rate
SSP:Simple Secure Pairing
HS:High Speed
LE:Low Energy
今回のBluetooth 5のバージョンが、4.3ではなく5になった理由は、2Mbps LE PHYの採用にあるようです。しかも、今回からマイナーバージョンを廃止して「Bluetooth 5.0」ではなく「Bluetooth 5」になるとも言われました。これは、Bluetooth 4.2と4.1の発表の間がほぼ1年しかなく、ユーザー側に「4.2対応機器が出るまで待ったほうがいい?」というような混乱を招いたことに対する反省なのかもしれません。