Bluetooth Classicの基本は「Core Spec 4.2」という仕様書にまとめられています。そこには複数のフレームタイプが規定されています。それを見ると、一体誰がどのように選択して使い分けるのか、という単純な疑問が生じるはずです。今回は、Bluetoothのフレームタイプの使い分けについて仕様書から読み解いていきます注1)。

いくつもあるACLのフレームタイプとデータ長
Bluetooth ClassicにはACL(Asynchronous Connection Less)という一般データ用フレームと、SCO(Synchronous Connection Oriented)という同期オーディオ用のフレームがあります。このうちACLにはDM(エラー訂正機能のFECあり)とDH(FECなし)の2種類があります。これに625μ秒の「スロット」をいくつ連続で占有するかというスロット数が加わり、「DM1」とか「DH3」のように表記されます。Bluetooth 2.0で追加されたEDR(Enhanced Data Rate)では、DHフレームに限って2倍速、3倍速のEDR モードが追加され、2-DH1とか3-DH5のように表記します。
これらACLフレームタイプについての記述はVol.2 Part.B 6.5.4にありますが、まとめると次のようになります。

さてBluetoothノード同士が通信するとき、これらのフレームタイプはどの階層で、どのような基準をもって選択されるのか。なるべく高速で通信したいから3-DH5を名指しで使いたいといった指定は可能なのか。それができるとすれば、どのようにして指定すればいいのか――といった疑問が生じるのではないでしょうか。
これらの単純な疑問に対し、Bluetoothの仕様書に「答えはこれです」とは示されておらず、回答となる要素があちこちに散らばって記述されています。「仕様書」だから当たり前なのですが、Bluetoothを取っつきにくくする要因の1つでしょう注2)。