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最大の理由はグループ挙げての売上増

 利益改善の主要要因が費用削減ではないとなると、残る要因は1つ。売上の増加だ。図4は、2017年3月期(FY2016)から2018年3月期(FY2017)にかけての売上高の増減分析だ。シャープはすべての事業セグメントで売上高を伸ばしており、売上総額は3766億円の増加となっている。

図4●売上高の増減分析
図4●売上高の増減分析
2018年度決算短信プレゼン資料にブライトワイズコンサルティング合同会社が一部加筆

 利益増加の主な要因が、費用削減ではなく売上増加というのは、非常にいい傾向だ。費用削減は後ろ向きの打ち手であり、企業内部の雰囲気が悪くなる。働く者のモチベーション悪化にもつながる。経営資源の縮小を伴うので、長期的には企業の弱体化にもつながる。

 それに対して売上増加は、より多くの製品を買ってもらったか、より高価格帯のものを買ってもらったかのいずれかである。いずれにしても、それだけ顧客に評価されたということだ。言葉を換えれば、シャープはそれだけ世の中に価値を提供できるようになったということであり、シャープが再び企業としての存在意義を持ったということである。

 事業セグメントの中で目を引くのは、液晶関連の事業である「アドバンスディスプレイシステム」の売上増加だ。かつて足を引っ張った液晶事業が、今や業績回復の牽引役となっているのだから、トップが変われば企業はこうも変わるということなのかもしれない。

 そして、その背景には鴻海グループの強力な販売力がある。

 図5を見てほしい。鄭州市富連網電子科技と南京鴻富夏精密電子は、いずれも鴻海の子会社であり、シャープから見れば、親会社を同じくするいわゆる兄弟会社である。2017年3月期から2018年3月期にかけて、これら鴻海グループ企業に対する売上高が急増している。鴻海グループはシャープから製品を仕入れて外販しており、その増加額の合計3130億円は、総売上高の増加額3766億円の大部分を占める。中国という一大消費マーケットへの強力な足掛かりを持つ鴻海グループならではと言える。

図5●鴻海グループ内売上高の増加分
図5●鴻海グループ内売上高の増加分
過去の有価証券報告書よりブライトワイズコンサルティング合同会社が作成