PR

 富士通の2018年度第1四半期(2018年4~6月期)の業績が好調と報道されている。2018年8月21日付日本経済新聞は、通期見通しに対する当期純利益の進捗率をランキングしているが、富士通は66.1%で堂々の3位になっている。2018年度(2018年4月~2019年3月)の最初の3カ月だけで、1年分の利益の約3分の2をすでに稼いだことになる。

※売上高見通しが3000億円以上の主な3月期決算企業を対象とするランキング。進捗率は会社予想を基準に算出

 しかし、富士通の四半期利益には、企業年金制度の変更に伴う特別な利益が919億円含まれている。その意味を理解しないと、富士通の業績が好調とは安易には言えない。

“第3の企業年金”、リスク分担型企業年金とは

 富士通が採用した新たな企業年金制度とは、2017年1月に厚生労働省が新たに創設した「リスク分担型企業年金」だ。大手企業の中で採用するのは富士通が初めてと言われている。

 企業年金には従来より、確定給付型(DB:Defined Benefit)と確定拠出型(DC:Defined Contribution)という2つのタイプがあった。かつての日本においては、このうち確定給付型が主流であった。これは年金資産の運用成績に関わらず、退職時の給付額に企業がコミットすることで、企業が一方的にリスクを負う方式である。

 だが、バブルの崩壊以降、企業の多くは確定給付型の企業年金に耐えられなくなっている。年金資産の運用状況が悪化し、将来の年金支給に対する積み立て不足が露呈するようになったからである。

 そこで急速に広がったのが確定拠出型年金である。これは文字通り、従業員が拠出する掛金だけが決まっている方式である。退職時にもらえる給付額は運用次第であり、約束されていない。

 企業が一方的にリスクを負う確定給付型に対して、確定拠出型の企業年金は従業員が一方的にリスクを負う形態である。それが今度はリーマンショックで問題になった。運用状況の悪化により、十分な年金をもらえない被雇用者が続出したのだ。

 そこで創設されたのがリスク分担型企業年金である。これは、確定給付型と確定拠出型のハイブリッド型であり、それゆえに“第3の企業年金”と言われている。具体的には、被雇用者が確定的に拠出する掛金とは別に、将来の不況等のリスクに備えて企業があらかじめ掛金(リスク対応掛金)を拠出する。不況などで年金資産の運用状況が悪化した場合、それが想定の範囲内であればリスク対応掛金でカバーされ、被雇用者に対する給付額は当初の見積額通りとなる。一方、運用状況の悪化が想定を上回り、リスク対応掛金でカバーし切れない場合、被雇用者に対する給付額はそれだけ減額される。

 リスク分担型企業年金は、このような仕組みによって将来のリスクを企業と被雇用者で分担する仕組みになっている。ここで想定されるリスクは「20年に1回の頻度で生じると想定されるリスク」なので、バブル崩壊やリーマンショック級のリスクが該当する。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

日経クロステック登録会員になると…

新着が分かるメールマガジンが届く
キーワード登録、連載フォローが便利

さらに、有料会員に申し込むとすべての記事が読み放題に!
有料会員と登録会員の違い