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 日産自動車の会長の後任が決まらない。

 日産自動車のカルロス・ゴーン元会長は、金融商品取引法違反の疑いで逮捕されたことを理由に、会長を解任された。それから1カ月以上経(た)った現在においても、まだ後任の会長が決まらない。

 しかし、それ以前に、日産自動車はなぜそんなに会長職にこだわるのか。それを理解するには、そもそも株式会社において会長職とは何なのかを理解する必要がある。そこを理解すると、日産の問題は、後任の会長がなかなか決まらないことではなく、会長という職にいつまでもこだわっているところにあるように思えてくる。

会長人事を巡るルノーとの攻防

 後任の会長人事を巡るここまでの経緯を改めて確認しておこう。

 カルロス・ゴーン元会長が金融商品取引法違反の疑いで逮捕されたのは2018年11月19日。具体的な容疑は、有価証券報告書においてゴーン元会長の報酬を過少に記載した疑いだ。そのわずか3日後の22日、日産自動車は取締役会で、ゴーン元会長の会長職を解いた。ただし、取締役には残っている。取締役の解任は株主総会でしかできないので、取締役会では取締役の職を解くことはできない。

 日産自動車は、後任の会長を日本人取締役から選ぶ考えだった。最有力と見られた案は、西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)が会長を兼務することだ。日産自動車は、同年12月17日の定例の取締役会でそれを決める予定だった。しかし、株式の43.4%を保有する日産自動車の筆頭株主である仏ルノーと調整がつかなかった。

 取締役会に先立つ12月14日、ルノーは日産側に臨時株主総会の開催を求めた。ルノーの主張は、「(日産自動車の取締役人事について)株主総会がオープンで透明性の高い方法で議論する最善の場だ」というものだった。これは、「後任の会長はルノーが選ぶ」と言っているようなものだ。

 これを受けて、日産自動車は、12月17日の取締役会で後任の会長を選任することは見送ったが、同時に、ルノーが求めていた臨時株主総会の開催を受け入れないことを決めた。また、同日付で、第三者を交えた「ガバナンス改善特別委員会」を設置し、そこで協議を継続することとした(特別委員会設置のお知らせ)。

 その3日後の12月20日、東京地検が出したゴーン元会長の勾留期間延長請求を、東京地裁が却下。東京地検からの異議申し立ても却下され、いよいよゴーン元会長が保釈されるかと思いきや、翌21日、今度は特別背任容疑で再逮捕される。その後、ルノーは再び臨時株主総会の開催を要望する。この間、現在に至るまで、ルノーは容疑不十分を理由に、ゴーン日産元会長のルノーにおける会長職を解いていない。

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