5G(第5世代移動通信システム)対応スマートフォンが一般的になってきたものの、国内では「Sub-6」周波数帯域にのみ対応する製品が多く、「ミリ波」周波数帯域に対応する製品はまだあまり多くない。そんな中、国産スマートフォンとしてミリ波対応の先駆けとなったのが、富士通の「arrows 5G F-51A」である。
同製品は2020年7月に発売され「Sub-6」と「ミリ波」の両周波数帯域に対応する。今回は本製品を分解していく。
両面実装基板をメイン基板に搭載
メイン基板は、中央が穴あきになっており、ここにカメラモジュールが搭載されている。メイン基板のA面の表面左上は「フロントエンド」と呼ばれるブロックで、通信関連ICが並んでいる。例えば米Qualcomm(クアルコム)の5G用パワーアンプICや村田製作所のRFスイッチ、TDKのデュプレクサーなどである。
フロントエンド部の下には、キオクシアのフラッシュメモリーを搭載。さらにその下に、Qualcommの5G Sub-6/LTE/WCDMA/GSMトランシーバーIC「SMR526」がある。A面右側には、米Micron Technology(マイクロンテクノロジー)のDRAMを搭載する。
メイン基板B面も、左側にはフロントエンド部があり、Qualcomm製の5G用パワーアンプICなどの通信関連ICが並ぶ。B面右側にある銀色の大きな部品は、Qualcommのベースバンド統合型アプリケーションプロセッサー「SDM865」である。
このアプリケーションプロセッサーは、A面のDRAMと、変則的な実装方法になっていた。なんと、アプリケーションプロセッサーとDRAMを両面に実装した基板を用意し、これをメイン基板に実装するという形態を採用していたのだ。メイン基板に接続する面にはDRAMが存在するが、このDRAMのパッケージ部分のメイン基板をくりぬくことでぶつかりを解消していた。