折り畳みスマートフォンが世に出たのは2018年ごろだ。これまで韓国Samsung Electronics(サムスン電子)や中国Huawei Technologies(華為技術、ファーウェイ)、中国Royole(ロヨル)、中国Lenovo(レノボ)傘下の米Motorola Mobility(モトローラ・モビリティ)の4社が製品を世に送り出してきた。
21年12月には、中国OPPO(オッポ)が同社として初の折り畳みスマートフォン「Find N」をリリースし、同端末を持つ5番目の会社となった。今回はそのOPPOのFind Nを分解する。
シンガポールの調査会社Canalysによると、世界の折り畳みスマートフォンの出荷台数は約890万台だという。ディスプレーサイズが7インチ後半から8インチの製品が多く、ターゲット市場はフラッグシップスマートフォンや小型のタブレット端末が重なるとみられる。
ディスプレーは谷折り、フレキシブル基板で左右をつなぐ
Find Nのキーパーツとなるディスプレーは「谷折り」タイプのため、広げた状態で使用する大型ディスプレーと、折り畳んだ状態で使う標準スマートフォンサイズのディスプレーの合計2枚のディスプレーを搭載する。
大型のメインディスプレーは7.1インチで韓国Samsung Display(サムスンディスプレイ)製、折り畳んだ時に使用するサブディスプレーは5.49インチで中国BOE Technology Group(京東方科技集団)製と推定される。どちらもフレキシブル有機EL(OLED)パネルである。
これまでフレキシブルOLEDパネルはSamsung Displayの独壇場だったが、中国Tianma Microelectronics(天馬)やBOEが量産を開始し、Samsung Displayの牙城を侵食しつつある。今後中国勢メーカーの参入によりパネルの価格破壊が起こるだろう。
リチウム(Li)イオン2次電池はセンターパネルの左右に異なるサイズのものを搭載しており、メーカーはTDK傘下の香港ATL(Amperex Technology Limited)。電池容量は小さい方が2085mAh、大きい方が2355mAhで合計4440mAhである。
センターパネルの折り畳みヒンジ部には、3本の太いフレキシブルプリント基板が内部を通してあり、左右を電気的に接続している。