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 多くの自動車でメーター(クラスター)が針から液晶パネルに代わりつつある。このトレンドは、高級車だけでなく廉価な車両でも進んでいきた。今回はトヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」に搭載されたクラスターを紹介する。このクラスターは、2021年に発売された高度運転支援技術「Advanced Drive」搭載のミライに搭載されていた部品である。

 これまで分解調査した中で、日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」のクラスターは速度計以外が液晶で、米Tesla(テスラ)のEV「Model 3」とドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン)のEV「ID.3」は、フル液晶のクラスターとなっていた。ミライのクラスターも、フル液晶である。

トヨタ自動車「ミライ」装着時のクラスターの様子
トヨタ自動車「ミライ」装着時のクラスターの様子
(写真:日経クロステック)
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 ミライのクラスターは、搭載する100個近い電装品の中で最も大きい部品である。大きさは横幅約40cm×高さ約20cm×奥行き約15cmで、分解前の完成品では半円形をしている。

トヨタ自動車「ミライ」のクラスターの外観
トヨタ自動車「ミライ」のクラスターの外観
(写真:フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ)
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トヨタ自動車「ミライ」のクラスターのスペック
トヨタ自動車「ミライ」のクラスターのスペック
(出所:フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ)
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アルミダイカストのベースプレートと冷却ファンで放熱

分解したところ
分解したところ
左から、トップカバー、ディスプレーモジュール、メイン基板(中央)と2枚ずつのLED基板・フレーム・警告灯アイコン表示シート(左右)、冷却ファン、ベースプレート(写真:スタジオキャスパー)
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 自動車のクラスターは、安全に関わる重要部品であるため、電子部品の冷却は重要だ。本製品を分解すると、最背面にあるベースプレートはアルミダイカスト製で放熱を意識した構造となっていた。メイン基板にあるプロセッサー(マイクロコントローラー)とベースプレートが触れる部分には分厚い放熱材が貼られていた。

 一般的に画像データの処理には強力なプロセッサーが必要で、消費電力が大きく、放出される熱も大きい。電子部品は熱にデリケートなので、プロセッサーが放出する熱を放っておくとすぐに故障してしまう。このためプロセッサーの熱をきょう体全体に拡散できるよう計算された熱設計が必要となる。

 ID.3のクラスターとは異なり、ミライのクラスターには冷却ファンが搭載されていた。冷却ファンはパナソニック製で、直径は約40mm。背面がケースで覆われていて、側面はケーブルが接続されていない3方向に大きく穴が空いており、風の通り道になっているようだ。

冷却ファンとLED基板を取り付けたメイン基板の様子
冷却ファンとLED基板を取り付けたメイン基板の様子
冷却ファンはメイン基板の中央下部に、LED基板はメイン基板の左右下部にそれぞれコネクターで接続されている。パナソニック製冷却ファンに書かれた型番は「UDQFUFH01DDE」である(写真:全景はフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ、冷却ファンはスタジオキャスパー)
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メインSoCはルネサス製

 メイン基板のディスプレーモジュール側(A面)は、右下にルネサス エレクトロニクスのマイクロコントローラー「R7F701401」を搭載する。このほか、複数のLEDドライバーICなどが実装されていた。

メイン基板のA面
メイン基板のA面
ディスプレーモジュール側の面で、背の高い部品は少ない(写真:スタジオキャスパー)
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 メイン基板のベースプレート側(B面)には、中央にルネサス エレクトロニクス製の車載向けハイエンドSoCシリーズ「R-Car H3」の「R8J77951」を搭載する。放熱対策としてICの上に金属のシールドを搭載し、ベースプレートの放熱材などを経由してきょう体に熱を伝えやすくしているようだ。

 SoCの左隣には、米Micron Technology(マイクロンテクノロジー)のフラッシュメモリー「MTFC8GACAEDQ-AAT」が2つ並んで実装されている。このほか、B面の中央より右側には、ロームやドイツInfineon Technologies(インフィニオン テクノロジーズ)製の電源関連ICなどが複数搭載されていた。

メイン基板のB面
メイン基板のB面
ベースプレート側の面で、大きなコネクターが複数実装されている(写真:スタジオキャスパー)
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