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自動車の電動化は今後、どのように進むのか。自動車の部品や材料メーカーは、電動化の動きを見据えて、どのように事業戦略を立てるべきなのか。「日経クロステックラーニング」で「世界の自動車用パワートレーンの最新・将来技術と規制動向」の講座を持つK&Kテクノリサーチ代表(元デンソー)の加藤克司氏に聞いた。(聞き手は高市清治)

K&K テクノリサーチ代表の加藤克司氏
K&K テクノリサーチ代表の加藤克司氏
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なぜ自動車の「電動化」の動向を押さえる必要があるのでしょうか。

加藤氏:特に部品メーカーにとって大きいのは、電動化が進むに従って自動車の部品が変わってしまうことです。つまり自動車ビジネスが大きく変わってしまうのです。周知の通り、電気自動車(Electronic Vehicle、以下EV)にはエンジンや変速機、燃料タンク、マフラーなどの部品がありません。代わりに電池やモーター、インバーター、コンバーターなどの関連製品が重要になります。

 最近はモーターとインバーターと減速機の3つを1つにまとめた小型の電動パワーユニット(eアクスル)の重要度が増しています。この他、パワー半導体や軽量化素材、電動エアコン関係部品などの新規事業が電動化の動きに合わせて大きくなっていきます。

 こうした状況の変化を考えると、部品メーカーは今後、電動化の動向を正しく見定めていなくては、自社のビジネスのかじ取りが難しくなります。

 EV化が急激に進んでエンジン車がなくなったり、エンジンが生産されなくなったりすることはありませんが、全世界で、ハイブリッド車(Hybrid Electric Vehicle、以下HEV)やプラグインハイブリッド車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、以下PHEV) 、EVといった電動化の動きが進むのは確実です。

 しかも、後述しますが一時期EV化へと大きく舵を切った中国でHEVが見直されたり、規制の基準を見直す動きが出始めたりしています。欧州では現在の自動車の排出二酸化炭素(CO2)量の規制から、LCA(Life Cycle Assessment)のCO2量規制への移行の検討も進んでいますし、日本では30年からWell to WheelのCO2量規制に切り替わる予定です。

 そうなると規制対応を考えて、自動車メーカーのパワートレイン戦略が変わってきます。部品メーカーはその動きを迅速に把握して、自社の強みを生かしながら、新たな製品づくりに取り組む必要があるのです。

エンジン車かEVか、それともHEVなのか。自動車市場をめぐる覇権争いが活発ですが、まずは自動車の電動化について整理してください。

加藤氏:電動化の対象となるクルマのカテゴリーは一般に4つあります。[1]電気自動車(BEV)、[2]ハイブリッド車(HEV)、[3]プラグインハイブリッド車(PHEV)、[4]燃料電池車(Fuel Cell Electric Vehicle 、以下FCEV)です。それらを総称して一般に電動車(xEV)と呼び、BEVとFCEVは合わせてEVと呼びます。

 EVはモーターで駆動するクルマです。エンジンを搭載していません。これに対して、エンジンとモーターを両方持つのがHEVとPHEVです。

 単にHEVという時は、モーターを動かすのにエンジンを使って発電した電力を使います。これに対してPHEVは、HEV機能にプラスして家庭用電源から直接、電池を充電できます。

 FCEVは、燃料電池で発電した電力でモーターを動かすEVです。燃料電池は、供給された水素と外部から取り入れた酸素を化学反応させて発電するので、外部充電の必要がありません。ただし、水素を充填する必要があり、その供給インフラが必要になります。