全3820文字
PR

「ウィズコロナ」下での中国ものづくりでは、不良の発生する根本原因を知ることと、確実な意思疎通を図るノウハウが重要だ――。「日経クロステックラーニング」の「トラブルを未然防止する『日本設計×中国製造』の具体的実践法」の講師であるロジ代表の小田淳氏はこう指摘する。どうすれば中国でのビジネスでトラブルを防止できるのか、そのポイントを聞いた。(聞き手は高市 清治)

「中国の工場での不良品やトラブルは多くの場合、日本の設計者のコミュニケーション力で未然に防げる」と訴えられています。

ロジ代表(元ソニー設計者)の小田淳氏
ロジ代表(元ソニー設計者)の小田淳氏

小田氏:はい、その通りです。日本で設計した部品を中国の工場で製作してもらうと、トラブルが多いのは間違いありません。しかし、ソニー在籍時に7年間、中国で働いた経験を通して感じたのですが、日本の設計者に防ぎようがないトラブルは1割にも満たないのではないでしょうか。

 偽造のように中国側の悪意で発生するトラブルは、どうしたって防げません。しかし、悪意のない9割以上のトラブルは日本の設計者が中国人と上手にコミュニケーションを取るノウハウを持っていれば防げるはずです。

端的にいうと、そのノウハウはどのようなものでしょうか。

小田氏:曖昧にしない。ほぼこの1点に尽きます。こちらの意図を伝える時、曖昧な表現を使わない。先方(中国人)の話を聞く時、理解できなかったり、疑問を感じたりした点を曖昧なままにしておかない。この「曖昧にしない」姿勢を肝に銘じれば、多くのトラブルは防げます。不良品は減り、意図通りの部品が中国から届くようになるはずです。

 日本では、設計者の曖昧な図面や打ち合わせでの意図を、部品を製造する部品メーカー側がくみ取り、補っています。日本国内ではこのワークフローがうまく機能していて、常態化しています。しかし、これは日本の部品メーカーが世界有数の実力をつけているからこそ円滑に進むワークフローであって、中国では通用しません。

 特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大してからは一層、曖昧さの排除が必要になっています。テレビ会議システムなどオンラインでのやり取りを余儀なくされるからです。身ぶり手ぶりのようなコミュニケーション手段や、「検討します」といった曖昧な意思表示が、リアルでの打ち合わせに比べて通じにくくなっています。ただでさえ難しい中国人とのコミュニケーションが、さらに難しくなっている。ウィズ・コロナの時代は一層、「曖昧にしない」姿勢が問われます。