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信頼性の新たな動向(第12回):デバイス微細加工の本質的課題は「ばらつき」

 半導体デバイスの微細化はすさまじい勢いで進んでいる。TSMCは昨年(2019年)10月に7nm(nmは10-9メートル)の量産を開始した。筆者が某半導体関連会社でまだ新人であった1980年台初頭では、2µm(µmは10-6メートル)の製造プロセスを導入するということで大騒ぎしたものだから、まさに隔世の感である。ウエハー上に微細パターンを焼き付ける露光技術も、従来の光露光ではなく、EUV(極紫外線)露光を採用しているとのことだった。EUV露光については、光露光が限界を迎えた時に取って代わる技術として、ずいぶん昔から知られてきた。それなのに光露光技術がさまざまな手法で延命されると、まさに逃げ水のように先送りにされてきたという歴史がある。

 このように露光技術は大変な進化を遂げたものの、微細化に伴う本質的な課題として、特性値のばらつき拡大がある。半導体デバイスの特性値は微量の不純物注入(ドーピング)や寸法のばらつきなどで電気的特性が決まってくるが、こうした値は平均値を中心に正規分布で近似できることが知られている。これは多数の分子で構成される場合は比較的狭い分布となるが、特に酸化膜など分子数レベルで特性値が制御されるようになると、その分散値も大きくなる。図1は正規分布を示しているが、分散値が大きくなるに従い、分布の裾野が左右へ大きく広がっていくのが分かる。これらの裾野が「ばらつき」と呼ばれる。図2は裾野が広がると欠陥の分布との区別が難しくなることを示すイメージ図である。こうした傾向は不可避なので、ばらつきを考慮した設計や製造試験はますます重要になりつつある。

図1 正規分布(σ<sup>2</sup>は分散値)
図1 正規分布(σ2は分散値)
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図2 特性値のばらつき分布
図2 特性値のばらつき分布
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(執筆:九州工業大学 佐藤康夫)