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 アイデアには個性があります。それは物理的な性質(物性)とも言えるもので、「電気的」「化学的」「磁気的」「光学的」「機械的」という面白い物性が見てとれます。

 奇抜なアイデアが生まれると、その物性は電気にしびれる感覚と似ています。興奮するようなアイデアは、裸電線に触れてびりっとするのと同じ感触なのです。それまで、誰も考えなかったアイデアですから、本人も周囲もびっくりして、しびれるのです。

出所:PIXTA
出所:PIXTA

 電気的にしびれるというのは電圧が高いからで、意外と電流値は低いのです。それは静電気のようなもので、小電流でも数千ボルトの高電圧だからびりっとするのです。もっともそのようなアイデアの多くは、その瞬間はしびれるのですが、時間がたつと冷静になって、すぐに落ち着きます。

 このように、アイデアを電気的な物性で例えると、その瞬間だけしびれるようなアイデアは、最初に盛り上がるだけで、事業化しても長続きすることはないようです。しかし、低い電圧でも、ある程度の電流が流れると、電気的なエネルギーは大きいわけで、そのようなアイデアを基に事業化すれば、短命で終わるようなことはないのです。ただし、常に電気を流し続けなければいけないので、消費電力が大きくなるのは当然です。

 電圧も電流もあまりに大きいと危険な状態になります。人が感電死するように、事業も終焉(しゅうえん)することになります。要は電圧と電流のバランスが大事であり、ほどよいしびれ具合が続けば、それはうっとりするような心地良さになるのです。

 次に、化学的な物性としては、揮発性があります。揮発性の高いアイデアというのは、日常とはかけ離れた、いわば「ぶっ飛んだ」アイデアと言えましょう。一瞬で思いつくけど、消えるのも早いアイデアです。電気的物性の高電圧とも似ていますが、しびれるようなことではなく、すぐに蒸発してしまうアルコールのようなイメージです。

 それは一瞬のひらめきのようなもので、日常からかけ離れていればいるほど、斬新で面白いのです。揮発するのは、そのかけ離れた分だけ、記憶に残す間もなく、すぐに忘れてしまうということかもしれません。

 筆者は、このような揮発性の高いアイデアを重要視しています。揮発させずにじっくりと考えると、そこに新しいアイデアも追加されて、案外、使えるアイデアになることが多いのです。このようなアイデアが出たとき、すぐにメモを取るようにしています。そのために、トイレにも、シャツのポケットやベッドの枕元まで、あらゆるところにメモ帳を置いているのです。24時間、いつでも揮発性アイデアを残せるようにしています。