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 「雨だれ石をうがつ」と言います。一定の場所に落ちる雨だれは、長い間かけて、下にある石に穴をうがつ(穴を開ける)という意味から、小さな力でも根気よく続ければ必ず成功するという故事成語です。

出所:PIXTA
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 いささか情緒的な話になりますが、開発の仕事をしていますと、この雨だれという水の作用とその一生は、まさに開発そのものではないかと思ってしまうのです。それは、水の輪廻(りんね)転生と言ってもよいのかもしれません。山の尾根に雨が降り、沢を流れて渓流になって川となり、最後には大海に注いで一生が終わるのと似ています。

 さて、地球は水の惑星と言われていますが、その水と同じように、人はアイデアで満ちています。アイデアがない人などはおらず、誰でもアイデアを持ち合わせていると思うのですが、残念ながら、自分のアイデアに気がつかなかったり、存分に生かせなかったりする人も多いようです。場合によっては、アイデアを悪用して犯罪に走ったり、不正を働いたりする人もいますが、いずれもアイデアが作用した結果です。

 同じように、水も大雨を降らせて河川を氾濫させることもありますし、土石流を発生させて大きな被害をもたらすこともあります。また、地震時の地滑りが発生するのも、山の傾斜地に含まれる水の量に関係しているという研究もあるようです。いずれにしても、これらは全て水の作用の結果です。

 このように、自然界の水の作用と人のアイデアを一緒にするのは乱暴かもしれませんが、水(雨)もアイデアも最初は小さい粒のようなものから始まるのです。ちょっとしたアイデアという発想の粒が生まれ、そこから始まる商品化への流れとは、山の尾根に雨が降り、その水が沢を流れて渓流になって川となり、さらに成長していくようなものです。そして、その川の個性や流域に与える影響が商品やサービスということです。