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【正解】(3)

【解説】

 負荷に何らかの異常が発生した時、負荷が短絡し、供給電圧$V_{CS}$がパワートランジスタに直接かかり、過電流によりパワートランジスタが破壊に至る場合がある。パワートランジスタとしてIGBTを取り上げ、この短絡試験回路を図1(a)に、また短絡時のゲート電圧$V_G(t)$、コレクタ電流密度$J_C(t)$、IGBTのモニタ温度$T_M(t)$の経時変化を図1(b)にそれぞれ示す。スイッチSのオンによる短絡開始後、ゲート‐エミッタ間動作電圧$V_{GE}$に対応したコレクタ飽和電流$J_{C,SAT}$がIGBTに流れ、$T_M(t)$は初期のヒートシンク温度$T_{HS}$から臨界温度$T_{CR}$まで上昇する。$T_M(t)$が$T_{CR}$(Si(シリコン)の場合の$T_{CR}$は約700℃)に達すると、IGBTは熱暴走し、破壊に至る。短絡開始から破壊に至るまでの時間$t_{SC}$が短絡耐量の指標になる。Si‐IGBTの$t_{SC}$はおよそ10μsになっており、これを超えて使用してはならない。

図1 IGBT短絡耐量試験回路と短絡時における各波形
図1 IGBT短絡耐量試験回路と短絡時における各波形
(出所:パワーデバイス・イネーブリング協会)
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 以上の点を踏まえて、各選択肢の正誤について以下に示す。

  • (1)短絡耐量の指標は、温度ではないので不正解
  • (2)短絡耐量の指標は、エネルギーではないので不正解
  • (3)正解
  • (4)短絡耐量の指標は、電流ではないので不正解

なお、参考文献については下記を参照されたい。

1)浅田邦博、パワーデバイス・イネーブリング協会(監修)、「はかる×わかる 半導体 パワーエレクトロニクス編」、日経BPコンサルティング、2019.
2)B. Jayant Baliga, Chapter 9, in Fundamentals of Power Semiconductor Devices, Springer, New York, 2008.

(解説:群馬大学 松田順一)