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テスト豆知識(その20) 量子コンピューターの信頼性

 革新的なコンピューターとして量子コンピューターへの注目が高まっているが、前回のコラムでも紹介したITC2020(51st International Test Conference)ではVisionary Talkの1つとして「量子計算の信頼性入門」と題して米国Southern Methodist大のM. A. Thornton教授の講演があった。その概要を以下に紹介する。

 量子ビット(Quantum BitあるいはQubit)は量子状態で定義してベクトルでモデル化し、それを用いた量子計算は量子回路や量子言語を用いて表現する。量子計算は、最初に量子状態を初期化し、その後所望の状態遷移を発生させ、その結果の量子状態を測定することにより実施する。この量子計算において信頼性上の問題となるものとして、擾乱(じょうらん)による量子ビットの情報喪失があり、これは意図しない環境との相互作用により発生する。そこで量子計算における量子誤り検出/訂正(QEDAC:Quantum Error Detection and Correction)手法が研究されている。初期のQEDACとして1995年に提案された手法では、1つの論理量子ビットを9個の物理量子ビットで実現しているが、その後多くの手法が提案されており、量子計算の信頼性は日々向上しているとのことである。既に一誰でも利用できる量子コンピューターも実現されているが、高信頼化の基盤となるテスト技術は量子計算の広範な普及のための重要技術の1つである。