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 コロナ禍の中で、これまで絶対に交じり合うことのなかった業種同士が、人材交流をしたり、事業の進め方を工夫して補い合ったりしています。例えば、長引く営業自粛で顧客が来なくなった旅館やホテルの従業員が、近隣の農家に行って野菜の収穫を手伝ったり、製造業でも忙しいメーカーに異業種のメーカーから人を派遣したりと、今までは考えられなかった人や技術のやりくりが繰り広げられています。航空会社の花形であるキャビンアテンダントも配置換えは当たり前となり、これまでは何の関係もなかった小売店に派遣されるということもあるようです。

 皆さんはこの現実に驚かれるかと思いますが、筆者はこのような時代が来ると、以前から予言しており、つまり“想定内”のことなのです。

 かれこれ20年ほど前から「フィールドアライアンス(Field Alliance)の時代が来る」と言い続けてきました。皆さんがよくご存じの「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(以下、「USJ」)が誕生した2001年に筆者はそう感じたのでした。その理由についてお話しいたしましょう。

出所:PIXTA
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フィールドアライアンスとは何か

 それは、USJのプロモーション(宣伝や広報活動)を知ったからです。当時、USJで売っているキャラクターグッズなどは、中国地方の有力百貨店が納めていたのですが、その百貨店は物品を納めるだけでなく、USJに来店者が行くような仕掛けを、いくつもあるお店の中で積極的に仕掛けていたというのです。クーポン券や割引チケットを出すことはもちろんのこと、百貨店の店内でイベントを仕掛けたり、キャラクターが店内でサービスをしたりと、大阪にあるUSJに行くのが楽しいですよとそれはもう全店を挙げて中国地方の皆さんにプロモーションをしたのです。

 それは、言い換えれば「大阪のUSJという事業フィールドを共有するために中国地方の百貨店がアライアンスを組んだ」ということです。それを聞いた筆者は、そのことを「フィールドアライアンス」と呼ぶことにしたのでした。要するに、大阪のUSJと中国地方の百貨店が事業フィールドを共有するためにアライアンス契約をしたのです。

 そうして、USJは2016年にはおよそ1400万人もの入場者を数えるほどになり、大成功したのです。今でも、テーマパークであるUSJとは、その百貨店はもちろんのこと、実に多くの事業者がアライアンス契約をしているのです。

 こうしてみると、フィールドアライアンスというビジネスモデルは、今でも異業種同士が事業フィールドを共有して新しいビジネスを「共創」するビジネスモデルと言えましょう。それは、最初に書いたように、宿泊客が来なくなった旅館やホテルの従業員が、近隣の農家で野菜の収穫を手伝ったり、メーカー同士が業種を超えて人を派遣したり、キャビンアテンダントが小売店に派遣されたりするのと、きっかけこそ違いますが、結果は同じことではないでしょうか。