今回のコラムはパワーデバイス・イネーブリング協会(PDEA)が主催する「半導体技術者検定エレクトロニクス2級(パワーエレクトロニクス)」の予想問題を紹介する。
本稿ではIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)モジュールのスイッチング波形について問う。誘導負荷のスイッチング回路にIGBTモジュールを用いると、スイッチング波形に過剰なオーバーシュートが発生する場合がある。これがスイッチング損失を増大させるだけではなく、仮にこれがSOA(Safe Operating Area)を超えるとIGBTやFWD(Free Wheeling Diode)の破壊に繋がるため、これを抑えた回路設計をする必要がある。検定に合格するためにはぜひ正解しておきたい。
今回の問題の難易度は★★★である。本コラムでは紹介する問題の難易度を★の数(難易度に応じて1~5個)で表しており、★の数が多いほど難しい。今回は標準レベルの問題である。
【問題22】難易度:★★★
図1に示すIGBTモジュールのスイッチング特性測定回路から得られる波形に関して、以下の中で誤っているものを選びなさい。
- (1)コレクタ電圧$V_{CE}$のオーバーシュート(A)は寄生インダクタンス$L_p$に起因する。
- (2)コレクタ電流$I_C$のオーバーシュート(B)はハイサイドFWDに起因する。
- (3)ゲート抵抗$R_G$を大きくすると、上記(A)は低下する。
- (4)$R_G$を大きくすると、上記(B)は上昇する。