PR
MTEC代表取締役(元デンソー 専務取締役、電気電子系統括)加藤光治氏
MTEC代表取締役(元デンソー 専務取締役、電気電子系統括)加藤光治氏
AI、電動化時代こそ、カーエレクトロニクスがベースになると説く

電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)から、SiC・GaN・酸化ガリウム、パワー半導体実装技術、予防安全・自動運転技術、情報化、車載電子システムまで──。カーエレクトロニクスの進化が加速している。こうした中、「今後は、カーエレクトロニクスの基礎を踏まえた上で人工知能(AI)や電動化時代に対応すべき」と説くのが、「技術者塾」の講座「カーエレクトロニクスの最新動向を2日で押さえる」(2018年5月10、11日)に登壇する、MTEC代表取締役(元デンソー 専務取締役、電気電子系統括)加藤光治氏だ。同氏にカーエレクトロニクスの重要性を聞いた。(聞き手は近岡 裕)

カーエレクトロニクス技術の現状をどのように見ていますか。

加藤氏:「AI時代の自動運転」と「環境時代の電動化」が、世界の自動車業界のトレンドとして多くの技術者の耳目を集めています。ここで気になっているのが、「もうカーエレクトロニクスは終わった」といったような雰囲気になっていることです。しかし、それは錯覚だとはっきりと言っておきましょう。なぜなら、自動運転や電動化は、この半世紀にわたって蓄積されてきたカーエレクトロニクス技術の上にあるものだからです。

 AIによる自動運転は、人間が知覚と経験で判断してきた運転を、センサー情報と経験データで判断する方法に変えてクルマを操縦するものです。クルマの操縦の判断が人間からクルマに代わるものの、クルマにとって必要な走る・曲がる・止まる、目的地に行くという動作自体は全く変わりません。しかも、道路の全ての区間で自動運転が可能なわけではなく、環境条件や道路事情などによって自動運転が可能な条件は異なります。そのため、クルマの機能としては、手動運転に自動運転機能が付加される形となるでしょう。これを踏まえると、カーエレクトロニクスは自動運転機能と連携を取りながら、一層の進化を遂げていくと考えられます。

 一方、クルマの制御を見てみると、これまでの半世紀は機械的な制御をエレクトロニクスによる電子制御で代替してきた時代でした。この後は、動力がエンジンからモーターに移行していきます。今後はモーター駆動の時代を迎え、あらゆる機器が電動化していって、エレクトロニクスの新時代を迎えることでしょう。

 そう考えると、クルマの動力源は変化するものの、今後のカーエレクトロニクスは、機能ごとの連携が一層進化して最適制御となり、AI時代の制御と連携していくと考えられます。その意味で、カーエレクトロニクスは進化の途上にあります。個々の技術や要素をしっかりと理解し、その向上を図りながら次世代に備えていくことが大切です。ゼロベースでは未来は作れません。むしろ、未来を見ながらカーエレクトロニクスの現状を見ることが大切です。

 いずれにせよ、自動運転や電動化で全く違う世界が起こるというのは錯覚に過ぎません。