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QFDは構想設計における未然防止の決め手

設計のアイデア段階から製品として形にするまでの一連のものづくりの工程中で、品質不具合を未然に防ぐように動いているのですね。

皆川氏:その通りです。まず[1]のQFDは、構想設計における未然防止の決め手。構想設計で最も大切なのが、設計目標値の設定です。ところが、多くの企業が何の根拠もなくいきなり設計目標値を決めてしまいます。これではダメです。

 例えば、クルマを設計するとしましょう。多くの企業が構想設計を開始するやいなや、速度やトルク、出力といった設計目標値を決めてしまいます。なぜそのような設計目標値を決めたかと根拠を聞くと、よくあるのが「競合製品を少し上回ろうと思った」「従来製品を参考にした」という回答です。そういえば、「何となく決めた」と答えた設計者もいました。

 しかし、設計するのはどのような顧客向けのクルマなのでしょうか。街中を走りやすいクルマでしょうか、山道を走り回るクルマでしょうか。それとも、ドイツのアウトバーンを疾走するクルマ? いやいや、そのまるで逆で、田舎道の移動手段としてのクルマでしょうか。お客様は製品ではなく、機能を買うのです。アウトバーンを走りたい人に、狭い田舎道をゆっくり走るクルマを提供すれば、それはとても大きな品質不具合です。

 これを未然に防ぐためにQFDを使います。QFDでは、お客様の声をしっかりと聞いた上で、お客様が望む機能を見いだします。そして、その機能を満足する特性を見つけ出して設計目標値を決めるのです。

続いて、トヨタグループが展開しているFMEAとしてよく知られるDRBFMですね。

皆川氏:[2]のDRBFMは、詳細設計における未然防止の決め手です。詳しい内容はこれまでのインタビューで述べたのでそちらに譲りますが、DRBFMで大切なのは、設計者だけではなく、ものづくりに関わる部門の人間全員で議論することです。議論することで潜在的な品質不具合に気付き、未然防止につながるからです。逆に言えば、その気付きのためにはみんなで議論しなければなりません。

 このDRBFMを経て設計図面が出来上がると、それが工場側に渡されます。そこで行うのが[3]の工程FMEAです。工程FMEAは、工程設計の未然防止の決め手。生産ラインを造る前に実施し、品質不具合が起きないように手を打ちます。

 工程FMEAでは、各工程で起こり得る品質不具合をあぶり出した上で、その品質不具合を防止する工程設計になっているか、また流出防止がどうなっているのかを、みんなで議論します。これにより、品質不具合が起きない生産ラインに造り込むのです。