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QAネットワークは生産ラインにおける未然防止の決め手

そして、最後がQAネットワーク。しかし、工程FMEAが完璧であれば、この後は不要なのではありませんか。

皆川氏:確かに、工程FMEAの実施結果が非の打ち所がないほど完璧なものであれば、理論的には不要と言えるかもしれません。しかし、現実には工程FMEAの未然防止の網をすり抜けた品質不具合が潜在しているものです。そこで、トヨタグループが実践しているのが、[4]のQAネットワークです。QAネットワークは、生産ラインにおける未然防止の決め手で、トヨタ自動車が考案しました。

 QAネットワークは、生産ラインで保証すべき「保証項目」ごとに、どこの工程で品質不具合を防ぎ、どこの工程で品質不具合の流出を防止しているかを見て、それが目標ランクに一致しているかどうかを確認するものです。

 例えば、ある寸法を保証しなければならない機械構造部品があるとします。この部品について加工する工程(発生防止工程)を突き止め、そのレベル(発生防止レベル)を調べます。続いて、もしも品質不具合が出るとしたらどの工程(流出防止工程)か、そして、そのレベル(流出防止レベル)がどれくらいかについても調査します。

 これら発生防止レベルと流出防止レベルを4段階で分け、マトリックスにしたのがQAネットワークです。これを使って、品質不具合のランクを確かめます。例えば、発生防止レベルが1、流出防止レベルが1ならランクA。発生防止レベルが3で、流出防止レベルが2の場合はランクCといった具合に、発生防止レベルと流出防止レベルによってランクを決める。そして、それが自分たちが設定した目標ランクになっているかどうかを確認するのです。当然、目標ランクを下回れば品質不具合という判定になりますが、それを上回ればOKというわけではありません。その場合は「コストトラブル」と判断します。

QAネットワーク
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QAネットワーク
(作成:日経 xTECH)

 その理由は、お金をかければよいというものではないからです。全てランクAにすれば品質不具合は限りなくゼロに近づく一方で、価格が高くなり過ぎてしまう。この場合、価格という「品質」でお客様の期待を裏切ってしまうことになるのです。つまり、できる限りお金を掛けずに、最小のコストで最高の品質をつくりこむために、QAネットワークがあるのです。