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「ボトムレベル」をチェックする

中国市場では何を改めたのですか。

竹村氏:ベンチマークの在り方を見直しました。自動車業界では、ベンチマークと言えば他社の最高品質の製品を意味しています。最高の機能・品質の製品と比較し、その上を目指すのが当たり前で誰も疑わなかった。中国市場ではこの考え方を改めました。製品に求める要件をいったんゼロベースにして見直し、市場で受け入れられている最も安価な製品を「ボトムレベル基準」としてベンチマークしたのです。デンソーのこれまでの標準品ではなく、機能や性能、品質も現地が求める要件に合わせて適正化することで、価格を下げることにしました。

 その時にたどり着いたのが、「調達ありき」という考え方でした。「ボトムに合わせる」と決めても、設計者に預けるとどうしてもコストが下がりません。それは無理もない。設計者は「より良いものを造りたい」という発想から抜け切れないからです。そこで「調達ありき」という発想転換を図りました。ざっくり言うと、製品の機能・品質を決めて、材料、部品のスペックを決めるのではなく、市場で使われている安価な材料、部品を把握して、その安価な材料、部品を組み合わせるとどんな設計が必要かを考えるという方向転換です。

 設計者は、「中国製品を使ったら機能・品質を確保できない」という固定観念を持っていて、材料、部品を日本から調達するという考えも変えられませんでした。それでは劇的なコスト削減を実現できないことが見えてきたので、中国で入手できる安価な材料、部品の採用を前提にして始めました。意識改革と言ってもいいでしょうね。