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不具合が発生したら直す、の繰り返し

ISOでも要求されているのに、日本企業の半数も実施していないというのは不思議です。

皆川氏:品質手法全般に言えることですが、工程FMEAを実施しなくても、もの(製品)自体は造れるからでしょう。例えば、自動車メーカーと部品メーカーの関係です。顧客であり納入先である自動車メーカーが造り方を指示する場合は、部品メーカーは指示された通りに造るだけで、とりあえずものができてしまいます。

 ところが、こうした場合でも不具合が増えているのです。製品が多機能・高性能化しており、工程が複雑になっているというのが、その理由の1つ。もう1つの理由は、納入先が100%指示することが難しくなっているからです。例えば、自動車メーカーであれば、主要な工程や重要な箇所に絞って監査し、改善点を部品メーカーに指示します。経営リソースが限られていることもあり、全ての工程を見る余裕がなくなっているのです。そのため、監査を受けず、改善の指示をされない工程では、部品メーカーが自ら品質を保証しなければなりません。ここで工程FMEAを実施していない企業は当然、不具合に苦しむというわけです。

 工程FMEAを実施していない企業では、典型的な「対症療法」が見られます。不具合が発生する根本的な原因を追究して解決することを忘れ、不具合が発生したらその工程を直す。ところが、根本的な解決には至っていないので、また別の不具合が起きて、それを直す。するとまた別の不具合が発生する……。これを延々と繰り返すのです。

では、きちんとISOの規定に従って、工程FMEAを実施している企業は問題がないのですね?

皆川氏:いいえ、必ずしもそうとは言えません。先述の通り、形の上だけ工程FMEAを実施している企業があるからです。むしろ、こちらの方が問題の根は深いと言えるかもしれません。「我々はちゃんとやっている」と錯覚しているため、まさか間違っているとは気付かず、これまでのやり方を見直そうとは思わないからです。

工程FMEAが形骸化する2つの原因
工程FMEAが形骸化する2つの原因
(作成:日経 xTECH)
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しかし、何はともあれ実施しているということは、工程FMEAの進め方を分かっているはずです。

皆川氏:それでは、工程で不具合や不良品は発生していませんか? きっとそうではないはずです。担当者は心の中で、「ちゃんと工程FMEAをやったのに、なぜトラブルが起きるんだ?」と疑問に思っているのではありませんか。

 工程FMEAが形骸化する原因は2つ考えられます。

[1]ISOが推奨する工程FMEAのワークシートに「抜け」があること

[2]工程FMEAを生産技術部門だけで行っていること

 こうした原因に気付かずに形骸化の問題を放置していると、いつまでたっても工程FMEAが効果的に機能しないと思います。