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トヨタグループが「かしめ」や「ねじ締結」の工程でトラブルを経験

ISOが推奨するワークシートに抜けがあるとはどういうことでしょうか?

皆川氏:恥ずかしながら、かつて私自身が経験した失敗を明かしましょう。ある製品の生産ラインに、部品同士を締結する「かしめ工程」がありました。ISOの推奨するワークシートに従い、私たちは工程FMEAを実施しました。にもかかわらず、不具合が発生したのです。

 不具合の原因は、サブのかしめ工程にありました。かしめはサブ工程からメイン工程を経て行われます。しかし、私たちはメインのかしめ工程しか見ておらず、この部分にしか工程FMEAを実施していませんでした。メインに至る途中の工程で不具合が起きる可能性の議論を怠っていたのです。ところが、それでもISO9001の規定を通ってしまう。ISOの規定では、工程の一部であっても工程FMEAを実施していれば「OK」になってしまうからです。サブ工程を含めて工程FMEAを行うべしなどとは記述されていません。

ISOが推奨する(標準的な)工程FMEAのワークシート
ISOが推奨する(標準的な)工程FMEAのワークシート
「故障(不良)の原因」の枠の右に「評価点」があり、点数付けばかりに力を入れてしまう。(作成:日経 xTECH)
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 25年くらい前になるでしょうか。トヨタグループのある生産ラインにおいて、ねじ締結の工程でトラブルに見舞われました。もちろん、工程FMEAは実施済みです。このトラブルの原因も、同じくメイン工程以外を見ていなかったことにありました。ねじ締結は、ねじを取り出す工程、締結箇所に位置決めする工程、仮締めする工程を順に経て、ようやくねじを締結する工程に移行します。ここでもやはり、メインのねじ締結工程にしか工程FMEAを実施していませんでした。

 こうした手痛い失敗から、トヨタグループは従来の工程FMEAのワークシートの問題点を分析し、現在はそれを改善したワークシートを採用しているのです。