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工程FMEAのワークシート、トヨタグループとISOはここが違う

トヨタグループの工程FMEAのワークシートとISO推奨のワークシートとは、何が違うのですか。

皆川氏:トヨタグループの工程FMEAのワークシートには、ISO推奨のそれには無い検討項目(枠)があります。以下の3つです。

[1]機能の分割

[2]原因防止の工程〔故障(不良)の発生防止方法〕

[3]検出方法〔故障(不良)品の流出防止方法〕

 このうち、先のサブ工程(メインに至る途中の工程)の見落としを、[1]の機能の分割で防ぎます。トヨタグループの工程FMEAのワークシートには、「機能」の検討項目が「工程の機能」と「機能の分割」に分かれており、「工程の機能」の枠にメイン工程で付与する機能を、「機能の分割」の枠にサブ工程で付与する機能を記述します。こうして工程の機能に関する「抜け」を防止しているのです。

トヨタグループが使う工程FMEAのワークシート
トヨタグループが使う工程FMEAのワークシート
「機能の分割」「原因防止の工程」「検出方法」の3つの枠を追加した。これらはISO推奨のワークシートには無いもの。(作成:日経 xTECH)
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では、「原因防止の工程」と「検出方法」の2つの枠を、なぜトヨタグループは追加したのでしょうか。

皆川氏:この2つも、ISO推奨の工程FMEAのワークシートには「問題がある」とトヨタが考えた結果です。

 ISO推奨の工程FMEAのワークシートは、「故障(不良)の原因」の枠の右に、「評価点」の枠があります。この枠は、さらに「発生度」「影響度」「検出度」「重要度」の4つの枠に分かれています。そのため、故障(不良)の原因を考えると、必然的に発生度から重要度までの4項目の点数付け作業に入ってしまいがちです。何点を付けるかで悩み、ここにばかり時間をかけてしまうのです。

 しかし、これらの点数付けよりも、もっと大切なことがあります。ISO推奨の工程FMEAのワークシートはそれが抜け落ちているのです。その1つが、故障(不良)を起こさないようにどのような工程にしているかという[2]の原因防止の工程〔故障(不良)の発生防止方法〕。もう1つが、万が一故障(不良)が発生したときに、それを流さないようにどのような工程にしているかという[3]の検出方法〔故障(不良)品の流出防止方法〕というわけです。

 トヨタグループの良いところは、皆で議論して改善し、仕組みに落とし込んで全員に普及させることです。トヨタグループの工程FMEAのワークシートはその好例と言えるでしょう。